もし、あなたが「犬を飼いたい!」と思ったら知っておくべきことがある。犬の費用、しつけ、トラブル、散歩、そして最期について。飼ってから後悔しないためにも、犬を飼ってはいけない15の理由を挙げていく。
1.一生でみると、犬の費用は400万円以上
ペット売り場でガラスケースの向こうにいるかわいい犬。つぶらな瞳に頬が緩む。値札をみると買えないことはない。しかし生涯にわたって考えると費用の桁が変わってくる。
初期にかかるお金(150,000円)
- 生体費用(100,000円)
- 畜犬登録費用・狂犬病予防注射・健康診断費用・混合ワクチン接種(25,000円)
- 生活用具費用(25,000円)
毎年かかるお金(2,362,500円 ※15年)
- 生活費(10,000円/月×15年) ※食費・おやつ・ペットシート・その他
- 医療費(37,500/年×15年) ※狂犬病予防接種・混合ワクチン接種・フィラリア予防薬・ノミダニ予防薬・健康診断費用
臨時でかかるお金(1,550,000円 ※15年)
- トリミング費用(5,000円/月×15年)
- ペットホテル費用(10,000円/年×15年)
- しつけ教室費用(100,000円/1回)
- 去勢手術費用(100,000円/1回)
- 葬儀費用(30,000円/1回)
これとは別に、居住スペースにかかる費用や家財道具の修繕費用などが発生する。
ざっと見積もると、犬を飼う費用は400万円程度となる。もちろん概算なので、それ以下の場合も以上の場合も存在するだろう。いずれにしても、それなりの費用がかかることは間違いない。
あなたは、それだけのお金を犬にかけられるだろうか?
2.多くの飼い主が悩む犬のしつけ
無駄に吠えてはいけない、壁におしっこをしてはいけない、あたりかまわずうんちをしてはいけない、飼い主が不在の時はいい子にお留守番しなければならない、ものを噛んではいけない、もちろんお友達や人間も噛んではいけない。
しつけを通して、これらの「当たり前」を教えなければならない。粗相をした直後に一貫した態度で。一度で理解できる犬はいない。しつけには時間がかかる。
あなたは、根気強く犬をしつけることができるだろうか?
3.気軽に旅行へは行けなくなる
友人と、恋人と、家族と、旅行へ行くとき、犬はどうするか。一緒に連れていければ良い。しかし、犬同伴可のホテル・観光スポットは限られ、行動は間違いなく制限される。
自宅でのお留守番にも限界がある。知り合いに頼むか、ペットホテルに預けるケースが一般的だろう。ペットホテルの場合、費用も期間も考慮しなければならない。
朝早く家を出る旅程であれば前日に、帰宅が遅い場合は翌日まで預ける必要がある。4泊5泊と、長期にわたると犬の精神的負担が心配になる。
あなたは、気軽に旅行にいけなくなっても問題ないだろうか?
4.賃貸の場合、いい物件に住めなくなる
不動産サイトで調べると「ペット相談」の賃貸物件は、全体の1割程度。9割の物件は選択肢から外れることになる。対象となる1割は「ペット可にしなければ借り手のいない物件」かもしれない。
あなたは、犬のせいで住む部屋を妥協できるだろうか?
5.犬のために、居住スペースが費やされる
住んでいる部屋で「犬のための場所」はどれほどの割合だろうか。ゲージ、おしっこシート、食事スペースなどで、5%と仮定する。その場合、月10万円の賃貸であれば5,000円。3,000万のマンションであれば150万円は犬のための賃料になるかもしれない。
あなたは、犬のための賃料を払い続けられるだろうか?
6.人生において、選択の幅が狭まる可能性
転職、結婚、出産などライフイベント前後で、生活スタイルは大きく変わる。そして、たいていは予期せず起こるものだ。
その時、犬の存在が足かせとなる可能性はないだろうか。留学したい、結婚したい、同棲を解消したい、しかし犬がいるためできない、そんな馬鹿げた話が起こる可能性もゼロではない。
あなたこの先、犬のせいで人生の決断を諦められるだろうか?
7.飼い始めた犬を、途中で手放す可能性
のっぴきならない事情ができて犬が飼えなくなる。貰い手を必死に探しても引き取り手が現れない場合、あなたは犬をどうするのか。どうしようもなくなって、保健所へ送るしかないとなったら。
きっと周囲はあなたを非難するだろう。「無責任だ!責任をもって最後まで飼うべきだ」と。あなた自身も一生後悔することになるだろう。
あなたはどのような事情があっても、犬を最期まで守れるだろうか?
8.犬の散歩には、膨大な時間を費やす
雨の日も、風の日も、犬は散歩に行きたがる。犬によっては散歩嫌いもいるだろうが例外だろう。時間になるとそわそわし、クゥーン、クゥーンと鳴く。行かないわけにはいかない。犬を飼えば、毎日散歩に行くのが普通だと思ったほうがいい。
一日一回、15分で考えると、15年で82,125分の時間を散歩に費やすことになる。
あなたはそれだけの時間を、犬の散歩に費やせるだろうか?
9.近隣住民とのトラブルリスク
犬を飼うと、今まで以上にマナーを守らなければならない。うるさい場合はお隣さんにも頭を下げ、散歩の際にはうんちを持ち帰り、おしっこに水をかけなければならない。
マナーを守っても不快に思われることがある。あなたのように他の人すべてが犬好きなわけではない。犬嫌いな人の存在を忘れてはいけない。笑顔で挨拶し関係性をつくる努力が必要になるのだ。
あなたと犬はマナーを守り、周囲と良好な関係性を築けるだろうか?
10.糞尿による部屋の汚れ
毎日うんちとおしっこをする犬。散歩の際には持ち帰り、自宅のトイレに流さなければならない。室内でもトイレはする。部屋の中のおしっこシートも、毎日取り替える必要がある。
もちろん、やってはいけない場所でもする。壁や本棚にかかったおしっこは染み付き、拭いても臭いはとれない。適切な処置を怠るとカビが生える。不動産価値は下がり家具の買い替えが必要になるケースも。
あなたは、犬のうんちとおしっこの処理を毎日できるだろうか?
11.終わることのない、抜け毛への対応
毛が長い犬を飼った場合には、家中毛だらけになると覚悟した方が良い。春と秋、抜け毛が増える換毛期は特に注意が必要だ。掃除しても掃除しても毎日抜け続ける毛、頭を抱えるだろう。
小さな子供がいると犬の毛は喘息やアレルギーの原因になる。強力な空気清浄機を設置し念入りに掃除機をかけなければならない。それも毎日だ。
あなたは、犬の抜け毛のために、毎日掃除を頑張れるだろうか?
12.室内犬なら必須となるシャンプー
室内犬であれば日頃から清潔にしなければならない。シャンプーし、ブラッシングをし、肛門絞りをし、爪を切る。家でやろうとすると、一仕事だ。
ペットショップで、トリミングをお願いする場合、一回あたり5,000円から1万円の費用がかかる。清潔さを保つためには、時間と費用、そして労力が必要になることを忘れてはいけない。
あなたは、犬を清潔に保つ努力を続けられるだろうか?
13.動物病院への高額な支払い
もし、病気になったり、怪我をしたら病院にいかなければならない。ペット保険に入っていない犬は、毎回高額な医療費を請求されるだろう。万単位になる。もし、病気持ちの犬であれば、一生にかかる医療費は数百万に及ぶだろう。
ペット保険に入るとしても保険料は安くない。0歳からの加入で毎月2,000円程度。その費用は生きている間ずっと支払い続けなければならない。他の犬を怪我させたり、人に噛み付いたりした場合は慰謝料が発生するケースもある。
あなたは、犬の医療費・治療費が高額であっても払えるだろうか?
14.目が見えず、歩けない老犬の介護
ペットショップでつぶらな瞳をしていたかわいい犬も、間違いなく老いる。
目が見えなくなり、何度も壁にぶつかるかもしれない。痴呆症になり同じところぐるぐる歩きまわるかもしれない。歩けなくなるかもしれない。病気で苦しみ、泣き叫ぶかもしれない。
あなたは、老犬を最期まで介護できるだろうか?
15.避けられない死
誰もが死を避けられない。子供の教育のためにペットの死を体験させることが有効だという考えもある。しかし、ペットロスと言う言葉もある。
ペットショップに並ぶ犬からは想像できない。しかし、犬を飼うとは「死」まで含めて面倒をみるという決断だ。犬を飼ったその日から覚悟が必要になる。
犬の「死」については、日本ペットフード株式会社の広告、児島令子氏の名コピーがある。下記に引用する。
死ぬのが怖いから飼わないなんて、言わないで欲しい。
おうちを汚すから飼わないというなら、
犬はお行儀を身につけることでできる。留守がちだから飼わないというなら、
犬はけなげにも、孤独と向き合おうと努力するかもしれない。貧乏だから飼わないというなら、
犬はきっといっしょに貧乏を楽しんでくれる。だけど、、、、死ぬのがこわいからといわれたら、
犬はもうお手上げだ。全ての犬は永遠じゃない。
いつかはいなくなる。でもそれまでは、すごく生きている。
すごく生きているよ。だぶん今日も、日本中の犬たちはすごく生きていて、
飼い主たちは、大変であつくるしくって、
幸せな時間を共有しているはず。飼いたいけど飼わないという人がいたら、
伝えて欲しい。犬たちは、
あなたを悲しませるためにやっては来ない。あなたを微笑ませるためだけにやってくるのだと。
どこかの神様から、ムクムクしたあったかい命を
預かってみるのは、人に与えられた、
素朴であって高尚な楽しみでありますよ、と。
これを読むと、「あなたのことを待っている犬」が目に浮かぶ。そして、「待っている犬との楽しい生活」も。素晴らしい、名コピーだ。犬が欲しくなる。
しかし、犬は死ぬ。そして、ここまで挙げたように、想像以上の膨大な時間と費用、そして労力が必要となる。
あなたは、犬の死をひっくるめて犬を飼うことができるだろうか
絶対に「犬を飼ってはいけない」15の理由、まとめ
もし、この15の理由を踏まえても、まだ犬を飼う気持ちがぶれないのであれば、家族の一員として迎え、誰よりも愛してあげて欲しい。
しかし、少しでも不安に思ったり、気持ちが揺らいだのであれば諦めたほうがいい。あなたも犬も周りも含め不幸になる可能性があるからだ。
最後に犬の十戒も引用しておく。
犬の十戒
- 私の一生はだいたい10年から15年。あなたと離れるのが一番つらいことです。どうか、私と暮らす前にそのことを覚えておいて欲しい。
- あなたが私に何を求めているのか、私がそれを理解するまで待って欲しい。
- 私を信頼して欲しい、それが私の幸せなのだから。
- 私を長い間叱ったり、罰として閉じ込めたりしないで欲しい。あなたには他にやる事があって、楽しみがあって、友達もいるかもしれない。でも、私にはあなたしかいないから。
- 話しかけて欲しい。言葉は分からなくても、あなたの声は届いているから。
- あなたがどんな風に私に接したか、私はそれを全て覚えていることを知って欲しい。
- 私を殴ったり、いじめたりする前に覚えておいて欲しい。私は鋭い歯であなたを傷つけることができるにもかかわらず、あなたを傷つけないと決めていることを。
- 私が言うことを聞かないだとか、頑固だとか、怠けているからといって叱る前に、私が何かで苦しんでいないか考えて欲しい。もしかしたら、食事に問題があるかもしれないし、長い間日に照らされているかもしれない。それか、もう体が老いて、弱ってきているのかもしれないと。
- 私が年を取っても、私の世話をして欲しい。あなたもまた同じように年を取るのだから。
- 最後のその時まで一緒にいて欲しい。言わないで欲しい、「もう見てはいられない。」、「私ここにいたくない。」などと。あなたが隣にいてくれることが私を幸せにするのだから。忘れないで下さい、私はあなたを愛しています。
と、ここまで書いて、愛犬が散歩に連れて行ってくれとうるさくせがむので、わたしは散歩に行こうと思う。