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全部読んだ? 直木賞の歴代受賞作・候補作一覧(第1回〜第175回)受賞時年齢も

直木三十五

こんにちは、直木賞受賞作を読めるだけ読んでみたいホビヲです

エンターテインメント小説の作家に贈られる直木三十五賞。長編・短編集が対象で、物語の面白さと娯楽性が重視される。年2回選考され、受賞は作家の大きな勲章となる。受賞最年少は、朝井リョウ(23歳)、最年長は、青山文平(67歳)だ。

そんな、直木賞の歴代の受賞作・候補作をすべてまとめた。

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第175回(2026年上半期)直木賞

【受賞】未発表(選考前)

第174回(2025年下半期)直木賞

【受賞】『カフェーの帰り道』嶋津輝(56)

大正から昭和初期の大阪を舞台に、夜の街に生きる女性たちの哀歓と矜持を連作短編で描く。時代の変わり目に揺れる女性たちの強さと脆さが、静かな情感とともに浮かび上がる。

大正から昭和初期の大阪、夜に生きる女性たちの物語。嶋津さんは第170回でも候補入りしており、今回の受賞は多くのファンに待ち望まれていた。

第173回(2025年上半期)直木賞

受賞作なし

第172回(2024年下半期)直木賞

【受賞】『藍を継ぐ海』伊与原新(52)

海に生きる人々の営みと命の尊厳を、科学の眼差しをまじえて描いた連作短編集。自然の雄大さと人間の絆が、精緻な筆致で交わり合う。

第171回(2024年上半期)直木賞

【受賞】『ツミデミック』一穂ミチ(46)

コロナ禍を背景に、社会の歪みが生む罪と再生を六つの連作で描いた作品。絶望と隣り合わせの日常に宿るほのかな希望を、鋭い人間観察で切り取る。

第170回(2023年下半期)直木賞

【受賞】『ともぐい』河﨑秋子(44)

北の土地に生きる男が抱える深い孤独と、言葉にならない感情の爆発を描いた作品。人間の根底にある叫びを、静謐な筆致で掘り起こす。

【受賞】『八月の御所グラウンド』万城目学(47)

真夏の京都を舞台に、幽霊たちと現代の若者が草野球を通じて交錯する奇妙で温かい物語。歴史と青春と死が、軽やかな語り口でひとつに重なる。

テイストが全く異なる2作の同時受賞が話題を呼んだ回。幽霊×草野球という独自の万城目節が、多くの読者に愛されている。

第169回(2023年上半期)直木賞

【受賞】『極楽征夷大将軍』垣根涼介(57)

室町幕府を開いた足利尊氏の複雑な内面を、虚無と闘志のはざまで描いた歴史大作。やる気なき将軍が歴史を動かす逆説的な英雄像が、鮮烈に刻まれる。

【受賞】『木挽町のあだ討ち』永井紗耶子(46)

江戸の芝居小屋を舞台に、仇討ちの真相を目撃した者たちが語る連作時代小説。人情と噓と真実が複雑に絡み合い、最後に驚きの構造が現れる。

第168回(2022年下半期)直木賞

【受賞】『地図と拳』小川哲(36)

満州の架空都市を舞台に、日中戦争前後の激動を何世代にもわたって描いたサーガ。地図が描き変えられるたびに変容する人間の運命と意志を、圧倒的なスケールで紡ぐ。

【受賞】『しろがねの葉』千早茜(43)

戦国末期の石見銀山を舞台に、銀を掘る男と女の業と情念を描いた作品。銀の輝きに魅せられた者たちの生と死が、官能的な文体で綴られる。

第167回(2022年上半期)直木賞

【受賞】『夜に星を放つ』窪美澄(56)

喪失を抱えた現代人が夜空の星のように互いを照らし合う五つの物語を収めた短編集。孤独な魂たちの交差が、繊細な心理描写で浮かび上がる。

第166回(2021年下半期)直木賞

【受賞】『塞王の楯』今村翔吾(37)

戦国時代、攻めの刀鍛冶と守りの石垣職人が命をかけて技を競い合う歴史小説。「最強の盾」と「最強の矛」という問いを軸に、人間の意地と業が迫力満点に描かれる。

【受賞】『黒牢城』米澤穂信(43)

荒木村重が幽閉した黒田官兵衛が、城内の連続怪死事件を解く歴史本格ミステリー。密室殺人と戦国の謀略が見事に融合した傑作。

歴史×本格ミステリーの融合という試みが高く評価された『黒牢城』。米澤穂信さんの受賞は多くのファンが待ち望んだ悲願だった。

第165回(2021年上半期)直木賞

【受賞】『テスカトリポカ』佐藤究(43)

メキシコ麻薬カルテルと日本の臓器売買組織が交錯する暗黒神話的クライム小説。圧倒的な暴力と悪の美学を貫いた、衝撃的な現代の神話。

【受賞】『星落ちて、なお』澤田瞳子(43)

河鍋暁斎の娘・暁翠を主人公に、明治の美術界に生きた女絵師の気概と苦悩を描く。父の巨大な影に揺れながら自らの道を切り開く女性の姿が熱く描かれる。

第164回(2020年下半期)直木賞

【受賞】『心淋し川』西條奈加(56)

江戸の場末に流れる小さな川沿いに暮らす人々の哀歓を連作で描いた時代小説。社会の底辺に生きる者たちの悲哀と温もりが、情感豊かな筆で綴られる。

第163回(2020年上半期)直木賞

【受賞】『少年と犬』馳星周(55)

東日本大震災後の日本を旅し、様々な人間の元を渡り歩く一匹の犬の物語。犬と人間の心の触れ合いを軸に、傷ついた人々の再生と癒しを描いた連作。

東日本大震災後を旅する犬と人間の物語。ラストに向かうにつれ犬という生き物の純粋さが際立ち、読者の心を打つと評判の作品。

第162回(2019年下半期)直木賞

【受賞】『熱源』川越宗一(41)

樺太を舞台に、故郷を失ったアイヌの男とポーランドの亡命者の生を描く叙事詩。帝国主義の波に飲み込まれながらも民族のアイデンティティを守ろうとする魂の物語。

第161回(2019年上半期)直木賞

【受賞】『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』大島真寿美(56)

文楽の人形浄瑠璃作者・近松半二の生涯を、弟子たちの語り口で甦らせた歴史小説。浄瑠璃の世界に魂をかけた男の情念と、芸の継承をめぐる人間模様が生き生きと描かれる。

第160回(2018年下半期)直木賞

【受賞】『宝島』真藤順丈(41)

戦後沖縄を舞台に、米軍基地と向き合いながら生きた若者たちの青春と怒りと愛を描いた大作。沖縄の歴史的な痛みを背負いながら疾走する魂の物語。

第159回(2018年上半期)直木賞

【受賞】『ファーストラヴ』島本理生(35)

父親を刺殺した女子大生の心理鑑定記録という形をとったサスペンス。家族と自我と愛のあり方を問い、ラストで鮮烈な『ファーストラヴ』の意味が明かされる。

心理鑑定という形式で真実を逆照射する構造が評価された作品。ラストで『ファーストラヴ』という言葉の意味が反転する構成が読者に衝撃を与えると評判。

第158回(2017年下半期)直木賞

【受賞】『銀河鉄道の父』門井慶喜(46)

宮沢賢治の父・政次郎の視点から、息子の才能と病を見守る父親の愛を描いた伝記小説。父が賢治の文学に深く関わっていた事実が、温かな筆で浮かび上がる。

第157回(2017年上半期)直木賞

【受賞】『月の満ち欠け』佐藤正午(61)

前世の記憶を持つ少女と、三十余年にわたる男女の運命的な愛の巡りを描いたラブストーリー。輪廻を超えた魂の繋がりが、精緻な構造と抒情豊かな文体で紡がれる。

第156回(2016年下半期)直木賞

【受賞】『蜜蜂と遠雷』恩田陸(52)

浜松国際ピアノコンクールを舞台に、個性豊かな四人の若きピアニストたちの競演を描いた音楽小説。音楽の高揚と葛藤が圧倒的な筆力で紙の上に響き渡る。

直木賞と本屋大賞のダブル受賞!文字から音楽が聴こえてくると絶賛された、ピアノコンクールを舞台にした音楽小説の傑作。

第155回(2016年上半期)直木賞

【受賞】『海の見える理髪店』荻原浩(60)

父と子、母と娘など肉親を巡る哀切な情景を描いた六つの短編集。日常の中に潜む喪失と後悔、そして再生の萌しを柔らかな文体で切り取る。

第154回(2015年下半期)直木賞

【受賞】『つまをめとらば』青山文平(67)

江戸の武士たちを主人公に、男と女の情と倫理を問う六つの時代短編集。淡々とした描写の中に、人間の業と矜持が静かに光る。

第153回(2015年上半期)直木賞

【受賞】『流』東山彰良(46)

1975年の台湾を舞台に、祖父の死の謎を追う少年の青春と、大陸から流れた家族の歴史を描く。激動の時代を生きる人々のエネルギーと悲哀が躍動感あふれる文体で描かれる。

第152回(2014年下半期)直木賞

【受賞】『サラバ!』西加奈子(37)

エジプト生まれの主人公が日本・イランを転々としながら成長し、自分だけの「信じるもの」を探す物語。家族の崩壊と再生を通じて「自分とは何か」を問う、圧倒的スケールの長編。

エジプト生まれの主人公が「自分だけの信じるもの」を探す旅。ラストに向かって深みが増すと評価される圧倒的スケールの大作。

第151回(2014年上半期)直木賞

【受賞】『破門』黒川博行(65)

大阪を舞台に、ゼネコンの裏金と暴力団の抗争が絡む建設業界の裏側を描いたクライムコメディ。啖呵と笑いの中にリアルな暴力が潜む、疾走感あふれる傑作。

第150回(2013年下半期)直木賞

【受賞】『恋歌』朝井まかて(54)

幕末・明治の歌人・中島歌子の波乱の生涯を描いた歴史小説。天狗党の乱に翻弄された若き日の恋と、その後の数奇な人生が格調高い文体で綴られる。

【受賞】『昭和の犬』姫野カオルコ(55)

昭和という時代を犬との暮らしを軸に生きた一人の女性の半生を描いた自伝的小説。時代の変化の中で揺れる人間と動物の関係が、独特のリズムで刻まれる。

第149回(2013年上半期)直木賞

【受賞】『ホテルローヤル』桜木紫乃(48)

北海道の廃業したラブホテルを舞台に、そこで交わった男女の物語を描いた連作短編集。北国の荒涼とした風土の中に人間の欲と哀しみが剥き出しに描かれる。

廃業したラブホテルを舞台にした連作。北海道の荒涼とした空気が全編に漂い、読者の心に静かに響くと評判の作品。

第148回(2012年下半期)直木賞

【受賞】『何者』朝井リョウ(23)

就職活動中の大学生グループの内面とSNSの断絶を描いた青春小説。自己演出と本音の乖離をテーマに、現代の若者の痛みをラストの衝撃的な逆転で暴く。

【受賞】『等伯』安部龍太郎(57)

戦国時代の絵師・長谷川等伯の波乱の生涯を描いた歴史伝記小説。一介の絵師が天才の頂点を極めるまでの執念と悲劇が、絵画の美しさとともに壮大に描かれる。

第147回(2012年上半期)直木賞

【受賞】『鍵のない夢を見る』辻村深月(32)

地方に生きる女性たちの欲望と閉塞感を描いた五つの連作短編集。罪を犯す一歩手前の心理に潜む闇を、細やかな筆致でリアルに切り取る。

第146回(2011年下半期)直木賞

【受賞】『蜩ノ記』葉室麟(60)

江戸時代、十年後の切腹と家譜編纂を命じられた武士の残された日々を描いた時代小説。静かな覚悟と武士の矜持、家族への愛が清冽な文体で綴られる。

第145回(2011年上半期)直木賞

【受賞】『下町ロケット』池井戸潤(48)

中小企業の社長が夢のロケットエンジン開発に挑む企業小説の傑作。大手企業の理不尽な圧力に負けない中小企業の意地と技術者の誇りが、テンポよく描かれる。

候補作『ジェノサイド』は、チンパンジーと人間の間に生まれた超知性体という衝撃的な設定で話題を呼んだ作品。惜しくも受賞は逃したが、多くの読者から今なお支持されている。

第144回(2010年下半期)直木賞

【受賞】『漂砂のうたう』木内昇(43)

明治初頭の新宿を舞台に、元武士の男娼が生きる売春街の哀歌を描いた作品。時代の変わり目に取り残された者たちの悲哀と夢が、詩的な文体で描かれる。

【受賞】『月と蟹』道尾秀介(35)

月と蟹

月と蟹

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地方の海辺の町に住む小学生たちが、蟹の神様に様々な願いを祈る中で起こる悲劇を描く。子供の無邪気な残酷さと大人の罪意識が絡み合う、静かな恐怖の物語。

第143回(2010年上半期)直木賞

【受賞】『小さいおうち』中島京子(46)

昭和初期の東京、赤い屋根の小さな家で働いた女中の視点から、ある家族の戦前・戦中の日常を描く。時代の空気と一人の女性の秘めた恋を通じて、歴史の暗部が優しく暴かれる。

第142回(2009年下半期)直木賞

【受賞】『廃墟に乞う』佐々木譲(59)

北海道を舞台に、うつ病から回復途上の刑事が様々な事件の解決に関わる連作ミステリー。社会の孤立と人間の再生をテーマに、現代北海道の闇が浮かび上がる。

【受賞】『ほかならぬ人へ』白石一文(51)

「愛する」とはどういうことかを問い続ける男女の物語を描いた恋愛小説。人生の選択と後悔を丁寧に追い、真の愛の姿を哲学的に掘り下げる。

第141回(2009年上半期)直木賞

【受賞】『鷺と雪』北村薫(59)

昭和初期の東京を舞台に、財閥令嬢と女性運転手「ベッキーさん」が難事件に挑むシリーズの完結編。二・二六事件前夜の緊迫した時代の空気の中、謎解きと青春の感傷が交わる。

「ベッキーさん」シリーズの完結が直木賞に。二・二六事件前夜という歴史の緊張感の中での謎解きが光る、シリーズ通して高い完成度を誇る作品。

第140回(2008年下半期)直木賞

【受賞】『悼む人』天童荒太(48)

各地の交通事故や殺人の現場を訪れ、死者を「悼む」行為を続ける男の物語。生と死と記憶をめぐる哲学的な問いを、旅と対話の積み重ねで深く掘り下げる。

【受賞】『利休にたずねよ』山本兼一(52)

千利休の切腹前夜から逆算し、様々な人物の視点で茶人・利休の真実を描いた歴史小説。美の求道者として生き権力と対峙した利休の謎めいた生涯が、立体的に浮かび上がる。

第139回(2008年上半期)直木賞

【受賞】『切羽へ』井上荒野(47)

離島の小学校に赴任した女性教師の、島の医師との禁断の恋を描いた作品。閉ざされた島の風土と抗いがたい情念が、透明な文体で静かに描かれる。

第138回(2007年下半期)直木賞

【受賞】『私の男』桜庭一樹(36)

養父と養女が結ぶ禁忌の愛と殺人を、逆時系列で描いた衝撃作。流氷の北海道を背景に、歪んだ愛の呪縛と逃れられない過去が凄みのある筆致で描かれる。

第137回(2007年上半期)直木賞

【受賞】『吉原手引草』松井今朝子(53)

江戸吉原の花魁が忽然と消えた謎を、様々な人物の証言で追う歴史ミステリー。百花繚乱の吉原の世界と人間模様が、語り口の妙で生き生きと描かれる。

花魁失踪ミステリーを複数の証言で積み上げていく構成の美しさが高く評価された。吉原の世界観を丁寧に描いた作品。

第136回(2006年下半期)直木賞

受賞作なし

第135回(2006年上半期)直木賞

【受賞】『まほろ駅前多田便利軒』三浦しをん(29)

郊外の街「まほろ市」で便利屋を営む男と、ひょんなことから居着いた旧友の奇妙な共同生活を描く。市井の人々の哀歓に触れながら、二人の不器用な絆が温かく育まれる。

【受賞】『風に舞いあがるビニールシート』森絵都(38)

国連難民高等弁務官事務所で働く女性を中心に、社会の周縁で懸命に生きる人々を描いた短編集。使命感と現実のはざまで揺れる人間の姿を、力強く温かな視点で切り取る。

第134回(2005年下半期)直木賞

【受賞】『容疑者Xの献身』東野圭吾(47)

天才数学者が隣人の母娘を守るため完全犯罪を仕組んだ、ガリレオシリーズの傑作。究極の「愛」の形を論理で追う、理性と感情の相克が胸を打つ本格ミステリー。

ガリレオシリーズがついに直木賞!愛の究極を論理で語るという逆説的な構成が高く評価された作品。映画化もされ、幅広い読者に親しまれている。

第133回(2005年上半期)直木賞

【受賞】『花まんま』朱川湊人(42)

昭和の大阪下町を舞台に、前世の記憶を持つ少女や怪異が日常に紛れ込む短編集。懐かしさと恐怖と悲哀が入り混じった不思議な情感が読後に残る。

第132回(2004年下半期)直木賞

【受賞】『対岸の彼女』角田光代(37)

孤独を抱えたパート社員と若き女社長が友情を育む現代と、二人の学生時代の対比を描く。女同士の嫉妬と友情と孤立が、鋭く温かい筆致で描かれる。

第131回(2004年上半期)直木賞

【受賞】『空中ブランコ』奥田英朗(44)

変わり者の精神科医・伊良部が、様々な心の病を抱える患者をとんでもない療法で治す連作コメディ。患者の歪みと医師の奇行が絶妙に噛み合い、ユーモアの中に鋭い人間観察が光る。

【受賞】『邂逅の森』熊谷達也(46)

東北の山深いマタギの世界に生きる男の、自然と共存する孤高の人生を描いた長編。大自然への畏敬と生命の循環をテーマに、マタギとしての誇りと業が壮大に描かれる。

  • チルドレン』伊坂幸太郎(33)
  • 『語り女たち』北村薫(54)
  • 『富士山』田口ランディ(44)
  • 『幻夜』東野圭吾(46)

伊良部シリーズはどの話もユーモアにあふれながら読後に深みが残ると評判。奇想天外な精神科医・伊良部のキャラクターが多くの読者に支持されている。

第130回(2003年下半期)直木賞

【受賞】『号泣する準備はできていた』江國香織(39)

恋愛の残像と孤独を詩的に描いた十二の短編集。感情の揺らぎを精緻な言葉で捉え、愛の終わりと始まりの哀切な瞬間を静謐な筆致で刻む。

【受賞】『後巷説百物語』京極夏彦(40)

各地に伝わる怪談・奇談の真相を老人たちが語り解く、『巷説百物語』シリーズの完結編。江戸・明治の妖しき事件の裏に潜む人間の業と哀しみが重厚な文体で描かれる。

第129回(2003年上半期)直木賞

【受賞】『4TEEN』石田衣良(43)

東京・月島に暮らす14歳の少年四人組の一年間を描いた青春小説。友情・初恋・死・性など多感な時期の喜怒哀楽を、瑞々しい感覚とユーモアで描き出す。

【受賞】『星々の舟』村山由佳(39)

太平洋戦争の傷を抱えた父親と、それぞれの愛に揺れる五人兄弟の姿を描いた連作長編。禁忌の愛や家族の秘密を通じて、戦後日本の傷跡と人間の業を深く描く。

  • 重力ピエロ』伊坂幸太郎(32)
  • 『神田堀八つ下がり』宇江佐真理(53)
  • 『繋がれた明日』真保裕一(42)
  • 『手紙』東野圭吾(45)

第128回(2002年下半期)直木賞

受賞作なし

第127回(2002年上半期)直木賞

【受賞】『生きる』乙川優三郎(49)

江戸時代、藩の政争に翻弄されながらも武士の矜持を守り続ける男たちの物語。静謐な筆致の中に、武士としての「生きること」の意味が深く刻まれる。

江戸の武士が問う「生きること」の意味を静謐な筆致で描いた、直木賞らしい正統派の時代小説として高く評価された。

第126回(2001年下半期)直木賞

【受賞】『あかね空』山本一力(53)

江戸の下町を舞台に、京から来た豆腐職人と地元の女性の夫婦が家業を守り家族を育てる物語。江戸の人情と職人の誇りが温かい筆致で描かれる。

【受賞】『肩ごしの恋人』唯川恵(46)

正反対の性格を持つ二人の女友達の恋愛模様を描いたラブコメディ。恋に全力投球するわがまま美人と堅実な友人の対照的な生き方が、軽快なテンポで描かれる。

第125回(2001年上半期)直木賞

【受賞】『愛の領分』藤田宜永(51)

中年男女の成熟した愛の形を描いた恋愛小説。過去の傷を抱えた男と女が緩やかに近づいていく過程が、大人の哀愁とともに綴られる。

  • 邪魔』奥田英朗(41)
  • 『黄金の島』真保裕一(40)
  • 『モザイク』田口ランディ(41)
  • 『片想い』東野圭吾(43)
  • 『われはフランソワ』山之口洋(41)

第124回(2000年下半期)直木賞

【受賞】『プラナリア』山本文緒(38)

乳がん手術後に社会復帰できず漂流する女性の焦燥と再生を描いた作品。病後の空虚と周囲との摩擦をリアルに描き、「普通」という概念の呪縛を問い直す。

【受賞】『ビタミンF』重松清(37)

中年男性が家庭の中で感じる閉塞感や妻・子との軋轢を描いた七つの短編集。普通の家族の日常に潜む複雑な感情が、温かみある筆致で丁寧に描かれる。

  • 岡山女』岩井志麻子(36)
  • 『コンセント』田口ランディ(41)
  • 『あふれた愛』天童荒太(40)
  • 動機』横山秀夫(43)

第123回(2000年上半期)直木賞

【受賞】『虹の谷の五月』船戸与一(56)

フィリピンを舞台に、クーデターと内戦の混乱の中で戦う男たちの運命を描いたアクション巨編。過酷な暴力と友情と裏切りが渦巻く、激烈な冒険活劇。

【受賞】『GO』金城一紀(31)

在日コリアンの高校生が差別や偏見と向き合いながら自分のアイデンティティを模索する青春小説。軽快で毒のある文体と笑いの中に、民族と愛の問いが鋭く刻まれる。

  • 雷桜』宇江佐真理(50)
  • 『蔓の端々』乙川優三郎(47)
  • カカシの夏休み』重松清(37)
  • 『ストロボ』真保裕一(39)

GOは軽快な文体の疾走感と鋭い問いが評価された作品。在日コリアンの青春を描きながら、普遍的な「自分とは何か」という問いに昇華させたと評される。

第122回(1999年下半期)直木賞

【受賞】『長崎ぶらぶら節』なかにし礼(61)

明治末期の長崎を舞台に、消えゆく古い歌を探す旅に出た芸妓と民俗学者の交流と恋を描いた物語。長崎の情緒あふれる情景の中に、消えゆく文化への哀惜が込められる。

第121回(1999年上半期)直木賞

【受賞】『王妃の離婚』佐藤賢一(31)

15世紀フランス、ルイ12世の王妃離婚裁判に挑んだ弁護士の活躍を描いた歴史小説。中世の法廷を舞台に、権力と正義が激突する知的興奮に満ちた作品。

【受賞】『柔らかな頬』桐野夏生(47)

北海道の別荘地で失踪した幼い娘を探し続ける母親の狂気に近い愛と崩壊を描いた作品。社会規範を超えていく女性の内奥を、冷徹な目線で深く掘り下げる。

第120回(1998年下半期)直木賞

【受賞】『理由』宮部みゆき(38)

東京の高層マンションで起きた凄惨な一家殺傷事件の真相を、複数の証言から再構成する小説。現代日本の貧困・家族崩壊・格差が浮かび上がる重厚な社会派ミステリー。

第119回(1998年上半期)直木賞

【受賞】『赤目四十八瀧心中未遂』車谷長吉(53)

大阪の路地裏で肉屋を営む男と、刺青師を探す女との魂の交流と心中未遂を描いた作品。「業」と「贖罪」をテーマに、生の根源に触れる強烈な私小説的文体が炸裂する。

  • 定年ゴジラ』重松清(35)
  • 『兄弟』なかにし礼(59)
  • 『洛中の露』東郷隆(46)
  • 血と骨』梁石日(61)
  • 『桜花を見た』宇江佐真理(48)
  • 喜知次』乙川優三郎(45)

業と贖罪をテーマにした赤目四十八瀧と、母の狂気を描いた柔らかな頬。作風の全く異なる2作の同時受賞が話題を呼んだ。

第118回(1997年下半期)直木賞

受賞作なし

第117回(1997年上半期)直木賞

【受賞】『女たちのジハード』篠田節子(41)

大手損保会社に勤める五人の女性社員が、それぞれの「聖戦」を戦い抜く連作小説。バブル崩壊後の女性の生き方と職場の現実を活写した痛快な仕事小説。

【受賞】『鉄道員』浅田次郎(45)

鉄道員として生涯を捧げ、家族を犠牲にしてきた男の定年前最後の夜の物語。雪の中に現れる亡き娘の幻が、父の孤独と愛の深さを切なく照らし出す。

第116回(1996年下半期)直木賞

【受賞】『山妣』坂東眞砂子(38)

江戸末期の山深い村を舞台に、山姥伝説と女性の呪われた性を描いたホラー的歴史小説。山と女性の野生的な結びつきが、圧倒的な迫力と妖気をもって描かれる。

  • 不夜城』馳星周(31)
  • 『蒲生邸事件』宮部みゆき(36)
  • ゴサインタン』篠田節子(41)
  • 『カウント・プラン』黒川博行(47)

第115回(1996年上半期)直木賞

【受賞】『凍える牙』乃南アサ(35)

東京を舞台に、人を食い殺した狼犬を追う女性刑事と男性刑事のコンビの捜査を描く警察小説。疾走感ある文体と、女性刑事の孤独な葛藤が鮮烈に描かれる。

人を食い殺した狼犬を追う女性刑事の物語。乃南アサさんが描く女性の孤独と強さは独自のスタイルとして高く評価されている。

第114回(1995年下半期)直木賞

【受賞】『恋』小池真理子(43)

恋

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1960年代末の学生運動時代を背景に、革命を夢見た男女の愛と裏切りを描いた大人の恋愛小説。時代の高揚と失墜の中で燃え上がる恋の美しさと残酷さが、官能的な文体で描かれる。

【受賞】『テロリストのパラソル』藤原伊織(47)

バーのバーテンダーとして生きる元活動家が、かつての仲間が絡む爆弾事件に巻き込まれるハードボイルド小説。洗練されたクールな文体と意外な展開が読者を引き込む。

  • 『巴里からの遺言』藤田宜永(45)
  • 龍の契り』服部真澄(34)
  • スキップ』北村薫(46)
  • 『異形の寵児』高橋直樹(35)

第113回(1995年上半期)直木賞

【受賞】『白球残映』赤瀬川隼(63)

往年の社会人野球選手の引退後の人生と、野球への愛着を描いた作品。スポーツと人生の重なりを丁寧に追い、時代とともに消えゆくものへの哀惜を静かに描く。

  • そは何者』東郷隆(43)
  • 夏の災厄』篠田節子(39)
  • 夜を賭けて』梁石日(58)
  • 『千里の馬』池宮彰一郎(72)
  • 『百面相』内海隆一郎(58)

第112回(1994年下半期)直木賞

受賞作なし

第111回(1994年上半期)直木賞

【受賞】『二つの山河』中村彰彦(45)

日露戦争期を舞台に、日本軍の捕虜となったロシア将校との交流を描いた歴史小説。異文化の壁を越えた武人同士の友情と互いへの尊敬が、誠実な筆致で描かれる。

【受賞】『帰郷』海老沢泰久(44)

太平洋戦争から帰還した元兵士が戦後の日本で生きる姿を描いた作品。戦争の傷跡を抱えながら故郷に戻った男の葛藤と再生が、静かな筆致で描かれる。

この頃の受賞作は戦争を題材にしたものが多い。戦後50年が近づき、語り残すべき記憶への意識が高まっていた時代。

第110回(1993年下半期)直木賞

【受賞】『恵比寿屋喜兵衛手控え』佐藤雅美(52)

江戸時代の金融業を営む商人が様々な人情の機微に触れる時代小説。金と人情のはざまで揺れる江戸町人の生き様が、細やかな描写で描かれる。

【受賞】『新宿鮫 無間人形』大沢在昌(37)

新宿を縄張りとする孤高の刑事・鮫島が、無間地獄のような連続殺人事件に挑むハードボイルド小説。都市の暗部と孤独な正義の衝突が、スピーディな文体で描かれる。

第109回(1993年上半期)直木賞

【受賞】『マークスの山』高村薫(40)

山岳での遭難事故と連続殺人が結びつく壮大なスケールのクライム小説。緻密な構成と社会批判の鋭さで、日本のハードボイルドに新境地を開いた問題作。

【受賞】『恋忘れ草』北原亞以子(55)

江戸を舞台に、男女の恋情と別れを描いた人情時代小説。粋でいなせな江戸の空気の中に、忘れられない恋の切なさが淡くにじむ。

  • 『ガラスの墓標』今井泉(58)
  • 『真冬の誘拐者』本岡類(42)
  • ガダラの豚』中島らも(41)

第108回(1992年下半期)直木賞

【受賞】『佃島ふたり書房』出久根達郎(48)

東京・佃島の古本屋を舞台に、本と人との縁が結ぶ温かい人情劇。古書の世界に生きる夫婦の日常を通じて、本と人間の深い関わりが優しく描かれる。

  • 風の渡る町』内海隆一郎(55)
  • 『打てや叩けや』東郷隆(41)
  • 『清十郎』小嵐九八郎(48)
  • 『火車』宮部みゆき(32)

第107回(1992年上半期)直木賞

【受賞】『受け月』伊集院静(42)

野球をテーマに、それぞれの人生の岐路に立つ男たちの葛藤と再生を描いた連作短編集。野球の喜びと孤独が、洒脱な文体と情感豊かな筆致で描かれる。

  • 『人びとの光景』内海隆一郎(55)
  • 美味礼讃』海老沢泰久(42)
  • 『五左衛門坂の敵討』中村彰彦(43)
  • 『柏木誠治の生活』清水義範(44)

野球と男の孤独をテーマにした作品。伊集院静さん特有の洒脱な文体が存分に発揮されていると高く評価されている。

第106回(1991年下半期)直木賞

【受賞】『狼奉行』高橋義夫(46)

江戸時代の奉行所を舞台に、独自の信念で悪を断つ異色の奉行の活躍を描いた時代小説。痛快な勧善懲悪の中に、組織と個の葛藤が描かれる。

【受賞】『緋い記憶』高橋克彦(44)

江戸の水茶屋を舞台に、女性の命と尊厳をめぐる事件を解き明かす歴史ミステリー。謎解きと時代の風俗が絡み合い、鮮やかな結末が待つ作品。

  • 『返事はいらない』宮部みゆき(31)
  • 『鉄塔の泣く街』小嵐九八郎(47)
  • 『猫間』東郷隆(40)
  • 『不思議島』多島斗志之(43)
  • 人体模型の夜』中島らも(39)

第105回(1991年上半期)直木賞

【受賞】『夏姫春秋』宮城谷昌光(46)

春秋時代の中国を舞台に、絶世の美女・夏姫をめぐる男たちの野望と滅亡を描いた歴史小説。中国古代の覇権争いに翻弄される女性の生涯が、壮大な筆致で描かれる。

【受賞】『青春デンデケデケデケ』芦原すなお(41)

1965年の四国の高校生たちがロックバンドを結成する青春小説。ビートルズに衝撃を受けた少年たちの熱狂と友情と失恋が、軽快なユーモアで描かれる。

  • 『風吹峠』高橋義夫(45)
  • 龍は眠る』宮部みゆき(30)
  • 『法王庁の避妊法』篠田達明(53)

第104回(1990年下半期)直木賞

【受賞】『漂泊者のアリア』古川薫(65)

明治から昭和にかけて日本各地を漂泊した実在の演歌師・添田唖蝉坊の生涯を描いた伝記小説。反骨の魂を持つ流浪の芸人の生き様が、哀感をもって描かれる。

  • 墨攻』酒見賢一(27)
  • 『水阿弥陀仏』他 東郷隆(39)
  • 『銃殺』もりたなるお(65)
  • 天空の舟』宮城谷昌光(45)
  • 無明の蝶』他 出久根達郎(46)
  • 死にとうない』堀和久(59)

第103回(1990年上半期)直木賞

【受賞】『蔭桔梗』泡坂妻夫(57)

江戸の町人文化を背景に、市井の人々の日常と哀歓を描いた時代小説。細工物や職人技を通じて、江戸の美意識と人情が繊細に描かれる。

泡坂妻夫さんはプロのマジシャンでもあって、小説の構造にトリックを仕掛けることで有名。江戸の職人の技と作家の技が共鳴すると評された受賞作。

第102回(1989年下半期)直木賞

【受賞】『小伝抄』星川清司(68)

歌舞伎の演者たちの生き様と舞台裏を描いた作品。芸の世界に生きる人間の業と誇りが、歌舞伎の薫りとともに描かれる。

【受賞】『私が殺した少女』原尞(43)

誘拐された少女の死後に真相を追う探偵・沢崎のハードボイルド小説。乾いた文体と複雑な人間関係の中に、罪と贖罪の問いが刻まれる。

第101回(1989年上半期)直木賞

【受賞】『遠い国からの殺人者』笹倉明(40)

海外を舞台にした国際的な犯罪と日本人の関与を描いたサスペンス。文化と価値観の衝突の中で、殺人の真相が静かに解き明かされる。

【受賞】『高円寺純情商店街』ねじめ正一(41)

東京・高円寺の商店街で育った少年の戦後昭和の日々を生き生きと描いた自伝的小説。下町の喧噪と人情と笑いの中に、少年の純粋な眼差しが光る。

  • 柳生非情剣』隆慶一郎(65)
  • 『幻のザビーネ』古川薫(64)
  • 『密約幻書』多島斗志之(40)
  • 『秘宝月山丸』高橋義夫(43)
  • 『墨ぬり少年オペラ』阿久悠(52)

第100回(1988年下半期)直木賞

【受賞】『熟れてゆく夏』藤堂志津子(39)

北海道を舞台に、成熟した女性の官能と孤独を描いた作品。夏の熱気の中に熟れてゆく女の情念が、抑制された筆致で描かれる。

【受賞】『東京新大橋雨中図』杉本章子(35)

明治維新後の東京を舞台に、新しい時代に取り残された旧幕府側の人々の哀愁を描いた作品。変わりゆく東京の情景の中に、消えゆく江戸の残照が美しく描かれる。

  • ベルリン飛行指令』佐々木譲(38)
  • 『大空襲』もりたなるお(63)
  • 漂流裁判』笹倉明(40)
  • 『夢空幻』堀和久(57)
  • 『正午位置』古川薫(63)

直木賞第100回という節目!1935年に始まった賞の歴史の重みを感じさせる節目の回。骨太な受賞2作が選ばれた。

第99回(1988年上半期)直木賞

【受賞】『凍れる瞳』西木正明(48)

シベリアを舞台に、極寒の地に生きる人々と日本人抑留者の運命を描いた作品。凍える大地の中で生と死の境界を彷徨う人間の魂が、鮮烈に描かれる。

【受賞】『遠い海から来たCOO』景山民夫(41)

南の島から日本に流れ着いたイルカの少年と、彼に出会った男の交流を描いたファンタジー的作品。異文化との出会いが生む奇妙で温かな絆が、軽快な筆致で描かれる。

第98回(1987年下半期)直木賞

【受賞】『それぞれの終楽章』阿部牧郎(54)

中年男性たちの人生の終幕に向かう様々な姿を描いた作品。人生の黄昏時に訪れる選択と後悔が、しみじみとした筆致で描かれる。

  • 『幽霊記―小説・佐々木喜善』長尾宇迦(61)
  • 『ユーコン・ジャック』西木正明(47)
  • 』小杉健治(40)
  • 折鶴』泡坂妻夫(54)
  • 『大久保長安』堀和久(56)
  • 『海外特派員―消されたスクープ』三浦浩(57)
  • 『オールド・ルーキー』他 赤瀬川隼(56)

第97回(1987年上半期)直木賞

【受賞】『海狼伝』白石一郎(55)

海狼伝

海狼伝

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戦国時代の海を舞台に、倭寇として活躍した海賊たちの冒険と闘争を描いた歴史小説。海の男たちの荒々しい生き様と友情が、躍動感あふれる筆致で描かれる。

【受賞】『ソウル・ミュージック ラバーズ・オンリー』山田詠美(28)

黒人音楽への愛と自由な性愛を描いた恋愛小説。官能的でリズミカルな文体で、魂の解放と愛の形を大胆に描き出す。

  • 『無名の盾』もりたなるお(61)
  • 『浮世又兵衛行状記』篠田達明(49)
  • 『虎口からの脱出』景山民夫(40)
  • 『津和野物語』三浦浩(56)
  • 『闇の葬列』高橋義夫(41)
  • 『こんぴらふねふね』伊藤榮(59)

第96回(1986年下半期)直木賞

【受賞】『カディスの赤い星』逢坂剛(43)

スペインを舞台に、フラメンコと殺人が絡む異国趣味あふれるミステリー。情熱的なスペインの風土の中で、複雑な謎が鮮やかに解き明かされていく。

【受賞】『遠いアメリカ』常盤新平(55)

アメリカ文化への憧れと実体験を交えながら、戦後日本のアメリカとの距離感を描いた自伝的作品。翻訳者・編集者として歩んだ著者の目を通じて、日米文化の橋渡しが温かく描かれる。

第95回(1986年上半期)直木賞

【受賞】『恋紅』皆川博子(56)

江戸末期から明治にかけて、動乱の時代を生きた女性の激しい恋と数奇な運命を描いた歴史小説。色鮮やかで濃密な恋の物語が、妖艶な文体で描かれる。

  • 吉原御免状』隆慶一郎(62)
  • 『画壇の月』もりたなるお(60)
  • 百舌の叫ぶ夜』逢坂剛(42)
  • 『忍火山恋唄』泡坂妻夫(53)
  • 『元禄魔胎伝』篠田達明(48)
  • 『詐病』山崎光夫(39)

幕末から明治へ、激動の時代を生きた女性の恋を描いた作品。皆川博子さんの文体は時代の空気を纏っていると評されており、独自の世界観で知られる。

第94回(1985年下半期)直木賞

【受賞】『魚河岸ものがたり』森田誠吾(60)

築地魚河岸を舞台に、市場に生きる人々の活気と人情を描いた作品。早朝の市場の喧噪と職人気質の男たちの生き様が、愛情深い筆致で描かれる。

【受賞】『最終便に間に合えば』他 林真理子(31)

現代女性の恋愛と自立を鮮やかに描いた短編集。飛行機の最終便に乗る女性を軸に、恋の終わりと始まりが洒脱な文体で描かれる。

  • 『サイレント・サウスポー』山崎光夫(38)
  • 『常夜燈』篠田達明(48)
  • 背いて故郷』志水辰夫(49)
  • 『A列車で行こう』落合恵子(41)
  • 夏、19歳の肖像』島田荘司(37)

第93回(1985年上半期)直木賞

【受賞】『演歌の虫』他 山口洋子(48)

演歌の作詞家として生きる女性の世界と、芸能界に生きる人間模様を描いた作品。芸能界の裏側と女性の生き様が、歯切れよい筆致で描かれる。

第92回(1984年下半期)直木賞

受賞作なし

第91回(1984年上半期)直木賞

【受賞】『恋文』連城三紀彦(36)

手紙を媒介にした愛の物語を描いた作品。秘められた恋情が文通を通じて深まる様子を、繊細でミステリアスな筆致で描く。

【受賞】『てんのじ村』難波利三(47)

大阪・天王寺の貧民窟「てんのじ村」で生きる人々の哀歓と生命力を描いた作品。芸人たちが住まう下層社会の悲哀と笑いが、大阪の言葉と情緒で生き生きと描かれる。

  • 夏草の女たち』落合恵子(39)
  • 『溟い海峡』今井泉(49)
  • 『傾いた橋』小林久三(48)
  • 『海賊たちの城』白石一郎(52)
  • 葡萄が目にしみる』林真理子(30)
  • 『弥次郎兵衛』山口洋子(47)

手紙で深まる恋と、大阪の貧民窟の人情。正反対の2作同時受賞が話題を呼んだ、直木賞の幅の広さを示した回。

第90回(1983年下半期)直木賞

【受賞】『私生活』神吉拓郎(55)

会社員の日常生活の中に潜むユーモアと哀愁を描いた短編集。普通の男の「私生活」に宿る可笑しさと切なさが、上質なユーモアで描かれる。

【受賞】『秘伝』高橋治(54)

日本の伝統芸能や工芸に秘められた技と心を描いた作品。匠の技を守り続ける人間の矜持と苦労が、丁寧な筆致で描かれる。

第89回(1983年上半期)直木賞

【受賞】『黒パン俘虜記』胡桃沢耕史(58)

シベリア抑留の経験をもとに、捕虜生活の過酷さと人間の尊厳を描いた作品。極限状態に置かれた日本兵たちの生き様と友情が、ユーモアを交えながら描かれる。

  • 『紅き唇』連城三紀彦(35)
  • 『地雷』高橋治(54)
  • 写楽まぼろし』杉本章子(30)
  • 『貢ぐ女』山口洋子(46)
  • 』北方謙三(35)
  • 『臆病者の空』他 塩田丸男(58)
  • 風物語』森瑤子(42)

第88回(1982年下半期)直木賞

受賞作なし

  • 『天山を越えて』胡桃沢耕史(57)
  • 『捕手はまだか』赤瀬川隼(51)
  • 『結婚以上』落合恵子(38)
  • 『海峡』岩川隆(49)
  • 『熱い風』森瑤子(42)
  • 『絢爛たる影絵』高橋治(53)
  • 『白い花』他 連城三紀彦(35)

第87回(1982年上半期)直木賞

【受賞】『炎熱商人』深田祐介(51)

中東を舞台に、オイルショック後の日本の商社マンたちのビジネスと生き様を描いた作品。灼熱の地で奔走する商社マンたちの気概と挫折が、リアルに描かれる。

【受賞】『時代屋の女房』村松友視(42)

東京の骨董屋「時代屋」を舞台に、店主と女性の不思議な同居生活を描いた作品。日常の中に漂う昭和の哀愁と、男と女の奇妙な絆が温かく描かれる。

  • 『自決』飯尾憲士(55)
  • 島原大変』白石一郎(50)
  • 『舞台女優』加堂秀三(42)
  • 『翔んで翔んで』川本旗子(37)
  • ぼくの小さな祖国』胡桃沢耕史(57)
  • 『友達はどこにいる』他 山田正紀(32)

高度経済成長が終わりオイルショック後の日本を商社マンの目で描いた作品。現代にも通じる視点を持つ仕事小説として再評価の声も高い。

第86回(1981年下半期)直木賞

【受賞】『機雷』光岡明(49)

太平洋戦争中、機雷処理に従事した兵士たちの命がけの任務と人間模様を描いた作品。戦争の不条理と兵士たちの連帯が、緊迫感をもって描かれる。

【受賞】『蒲田行進曲』つかこうへい(33)

大部屋俳優と人気スター、そして妊娠した女優の三角関係を描いた作品。映画の撮影現場を舞台に、男たちの友情と狂気が笑いと涙で交錯する。

  • 暗殺の森』古川薫(56)
  • 『丑三つの村』西村望(56)
  • 『F2グランプリ』海老沢泰久(31)
  • 『泪橋』村松友視(41)
  • 『バンコク喪服支店』深田祐介(50)

第85回(1981年上半期)直木賞

【受賞】『人間万事塞翁が丙午』青島幸男(48)

丙午生まれの女性にまつわる迷信と偏見を、昭和の家族の歴史を通じてコミカルに描いた作品。時代の空気と家族の絆が、軽妙洒脱な筆致で描かれる。

  • 『セミ・ファイナル』村松友視(41)
  • 『曲亭馬琴 遺稿』森田誠吾(55)
  • 『ブラックバス』他 神吉拓郎(52)
  • ロン・コン』他 胡桃沢耕史(56)
  • 『宝塚海軍航空隊』栗山良八郎(52)
  • 『減反神社』他 山下惣一(45)
  • 『大御所の献上品』篠田達明(43)

第84回(1980年下半期)直木賞

【受賞】『元首の謀叛』中村正軌(52)

政治的陰謀と権力闘争を描いたサスペンス作品。国家の権力の頂点に潜む謀略と人間の欲望が、スリリングな展開で描かれる。

  • 『アラスカの喇叭』深田祐介(49)
  • 『オホーツク諜報船』西木正明(40)
  • 『真贋の構図』もりたなるお(55)
  • 『薄化粧』西村望(55)
  • 『きらめき侍』他 古川薫(55)
  • 『椛山訪雪図』他 泡坂妻夫(47)

第83回(1980年上半期)直木賞

【受賞】『花の名前』他 向田邦子(50)

向田邦子が描く繊細な人間関係と家族の情景をまとめた短編集。日常の何気ない瞬間に潜む愛情と哀しみが、比類なき観察眼で捉えられる。

【受賞】『黄色い牙』志茂田景樹(40)

黄色い牙

黄色い牙

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野生の世界を舞台にした動物と人間のドラマを描いた作品。自然の厳しさと生命の力強さが、野趣あふれる筆致で描かれる。

  • 『野づらの果て』他 米村晃多郎(53)
  • 『サムライの海』白石一郎(48)
  • 『ミセスのアフタヌーン』中山千夏(32)
  • 戻り川心中』連城三紀彦(32)
  • 上役のいない月曜日』他 赤川次郎(32)

向田邦子さんが直木賞!日常の一瞬に宿る家族の情景を独自の観察眼で描いた唯一無二の作風が高く評価されている。1981年の航空機事故による早世が惜しまれる作家。

第82回(1979年下半期)直木賞

受賞作なし

第81回(1979年上半期)直木賞

【受賞】『浪曲師朝日丸の話』他 田中小実昌(54)

旅芸人の世界と戦後の混乱期を生きた人々の姿を描いた短編集。庶民の逞しさとペーソスが、独特のリズムをもった文体で描かれる。

【受賞】『ナポレオン狂』阿刀田高(44)

ナポレオンへの偏執的な愛着を持つ現代人を描いた短編集。日常に潜む奇妙で皮肉な「狂気」が、洗練されたユーモアとともに浮かび上がる。

  • 『未知海域』宗田理(51)
  • 『主家滅ぶべし』滝口康彦(55)
  • 『監督』海老沢泰久(29)
  • 『鳥はうたって残る』丸元淑生(45)
  • 白い夏の墓標』帚木蓬生(32)
  • 『子役の時間』中山千夏(31)

第80回(1978年下半期)直木賞

【受賞】『一絃の琴』宮尾登美子(52)

土佐の地に生まれた女性が琴の道に生涯を捧げる物語。芸道に魂をかけた女性の執念と孤独が、格調高い文体と濃密な情念で描かれる。

【受賞】『大浪花諸人往来』有明夏夫(42)

江戸時代の大阪を舞台に、様々な庶民の生き様を描いた連作時代小説。上方特有の商人文化と人情が、活気ある筆致で描かれる。

  • 冷蔵庫より愛をこめて』阿刀田高(44)
  • 『野山獄相聞抄』古川薫(53)
  • 『日出づる海 日沈む海』安達征一郎(52)
  • 『みずすましの街』小林信彦(46)
  • シャガールの馬』他 虫明亜呂無(55)
  • 『地の息』小関智弘(45)

第79回(1978年上半期)直木賞

【受賞】『離婚』色川武大(49)

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離婚をめぐる男の心情と人生の分かれ目を描いた作品。独特の乾いた筆致で、人間の業と運命を見つめる色川文学の真骨頂。

【受賞】『深重の海』津本陽(49)

海を舞台に、生と死の境界を彷徨う人間の魂を描いた作品。海の深淵と人間の宿命が、力強い文体で描かれる。

  • 乱れからくり』泡坂妻夫(45)
  • 『日本悪妻に乾杯』深田祐介(46)
  • 『イタチ捕り』小檜山博(41)
  • 『ホーン岬』谷恒生(32)
  • 『唐獅子株式会社』小林信彦(45)
  • 『ガラシャにつづく人々』若城希伊子(51)

色川武大さんはギャンブルと文学を独特の乾いた目線で書いた作家。阿佐田哲也名義のマージャン小説も有名。二刀流の才能。

第78回(1977年下半期)直木賞

受賞作なし

  • 優しい滞在』三浦浩(47)
  • 『火神を盗め』山田正紀(28)
  • 『大阪希望館』難波利三(41)
  • 十三人の修羅』古川薫(52)
  • 『ニシパの歌』上西晴治(53)
  • 『巷塵』高橋昌男(42)
  • 『スペインの短い夏』他 谷克二(36)
  • 『錆色の町』小関智弘(44)

第77回(1977年上半期)直木賞

受賞作なし

  • 喜望峰』谷恒生(31)
  • 『竹生島心中』青山光二(64)
  • 『つゆ』井口恵之(48)
  • 怪しい来客簿』色川武大(48)
  • 魔笛が聴こえる』西村寿行(46)
  • 『飛べない天使』松代達生(43)
  • 『喝采の谷』平田敬(46)
  • 『マンハッタンのバラード』楢山芙二夫(29)

第76回(1976年下半期)直木賞

【受賞】『子育てごっこ』三好京三(45)

農村を舞台に、捨て子を育てることになった家族の姿を描いた作品。農業と家族の絆を通じて、命を育む喜びと苦労が温かく描かれる。

  • 滅びの笛』西村寿行(46)
  • 『葵と芋』有明夏夫(40)
  • 『さらば静かなる時』三浦浩(46)
  • 陽暉楼』宮尾登美子(50)
  • 『夏至祭の果て』皆川博子(47)
  • 『適塾の維新』広瀬仁紀(45)

第75回(1976年上半期)直木賞

受賞作なし

  • 『北辺の嵐』小田原金一(58)
  • 『山桜』栗山良八郎(47)
  • 『追うもの』『サバンナ』谷克二(35)
  • 呪いの聖域』藤本泉(53)
  • 咆哮は消えた』西村寿行(45)
  • 『神を信ぜず』岩川隆(43)
  • 『かもめ亭日乗』壱岐光生(54)

2回連続受賞なし。この頃の選考委員の厳しさが伝わる。候補作を見ると粒ぞろいで、甲乙つけがたい状況だったことがうかがえる。

第74回(1975年下半期)直木賞

【受賞】『復讐するは我にあり』佐木隆三(38)

実際に起きた連続殺人事件をもとに、犯人の生涯と心理を執拗に追ったノンフィクション的小説。人間の闇の深さと社会の歪みが、徹底的なリアリズムで描かれる。

  • 『夜明け』有明夏夫(39)
  • スローなブギにしてくれ』片岡義男(35)
  • 『幻島記』白石一郎(44)
  • 『コメディアン犬舎の友情』沼田陽一(49)
  • 『大いなる逃亡』田中光二(34)
  • 『夜の標的』醍醐麻沙夫(41)

第73回(1975年上半期)直木賞

受賞作なし

  • 金環食の影飾り』赤江瀑(42)
  • 『ふれあい』井口恵之(46)
  • 『ひまやきりしたん』素九鬼子(38)
  • 『一炊の夢』白石一郎(43)
  • 『ニューヨークのサムライ』楢山芙二夫(27)
  • 『生麦一条』武田八洲満(48)
  • 『天を突く喇叭』難波利三(38)

第72回(1974年下半期)直木賞

【受賞】『雨やどり』半村良(41)

伝奇的な要素を交えながら、日本の歴史と民俗に根ざした物語を描いた作品。雨やどりという情景から広がる人間のドラマが、独自の幻想性とともに描かれる。

【受賞】『アトラス伝説』井出孫六(43)

長野県の松本に縁のある人物たちの群像を描いた作品。信州の大地を背景に、様々な人間の生き様が交差する地方文化の物語。

  • 『大地の子守歌』素九鬼子(38)
  • 『イルティッシュ号の来た日』難波利三(38)
  • 『塞翁の虹』古川薫(49)
  • 暗黒告知』小林久三(39)
  • 『短剣』栗山良八郎(46)

第71回(1974年上半期)直木賞

【受賞】『鬼の詩』藤本義一(41)

大阪の下町を舞台に、逞しく生きる庶民の哀歓と笑いを描いた作品。鬼のように激しく生きる人間たちのエネルギーが、関西弁の軽妙な語り口で描かれる。

大阪弁の軽妙な語り口で庶民の哀愁を描く。テレビでもお馴染みだった藤本義一さんの直木賞受賞作。

第70回(1973年下半期)直木賞

受賞作なし

  • 『安見隠岐の罪状』戸部新十郎(47)
  • トマト・ゲーム』皆川博子(44)
  • 『闇の重さ』康伸吉(52)
  • 『日向延岡のぼり猿』滝口康彦(49)
  • 『冬の花 悠子』植草圭之助(63)
  • 『怨の儀式』安達征一郎(47)
  • 『サムライの末裔』有明夏夫(37)
  • 『女体蔵志』古川薫(48)

第69回(1973年上半期)直木賞

【受賞】『津軽世去れ節』長部日出雄(38)

津軽の風土と民俗を背景に、土地に根ざした人々の生き様を描いた作品。津軽三味線の音色に乗せて、北国の人々の哀愁と逞しさが描かれる。

【受賞】『暗殺の年輪』藤沢周平(45)

江戸時代の藩政をめぐる陰謀と、武士としての使命に引き裂かれる男の葛藤を描いた時代小説。藤沢文学の真骨頂である剣と人情が静かに交わる傑作。

  • 『木煉瓦』加藤善也(58)
  • 『妬刃』仲谷和也(44)
  • 黄金伝説』半村良(39)
  • 『炎の旅路』武田八洲満(46)
  • 罪喰い』赤江瀑(40)

第68回(1972年下半期)直木賞

受賞作なし

  • 『仲秋十五日』滝口康彦(48)
  • 『黒い繩』藤沢周平(45)
  • 『去年、国道3号線で』堀勇蔵(33)
  • 『雑魚の棲む路地』難波利三(36)
  • 信虎』武田八洲満(45)
  • 『折れた八月』小久保均(42)
  • 『暗雲』他 太田俊夫(59)

第67回(1972年上半期)直木賞

【受賞】『斬(ざん)』綱淵謙錠(47)

幕末・明治期の斬首刑を司る山田浅右衛門の生涯を描いた歴史小説。時代の変わり目に翻弄される「首斬り役人」の孤独と矜持が、静かな筆致で描かれる。

【受賞】『手鎖心中』井上ひさし(37)

江戸の戯作者の世界を舞台に、笑いと皮肉を交えながら男と女の情愛と心中を描いた作品。井上ひさし特有の言葉遊びと人間への深い愛情が光る。

  • 家族八景』筒井康隆(37)
  • 『残酷な蜜月』阿部牧郎(38)
  • 『おきさ』加藤善也(57)
  • 『寂光』桂英澄(54)
  • 『地虫』難波利三(35)
  • 『FL無宿のテーマ』有明夏夫(36)
  • 『中国語教えます』小山史夫(55)

井上ひさしさんの『手鎖心中』は江戸の笑いと情愛が同居した作品として高く評価されている。言葉遊びと人間への深い愛情が随所に表れると評される。

第66回(1971年下半期)直木賞

受賞作なし

  • 『自動巻時計の一日』田中小実昌(46)
  • 『老人と猫』石井博(45)
  • 『菊酒』宮地佐一郎(47)
  • 『空母プロメテウス』岡本好古(40)
  • 『華燭』福岡徹(47)
  • 『襤褸』木野工(51)
  • エロス』広瀬正(47)
  • 『囮』藤沢周平(44)

第65回(1971年上半期)直木賞

受賞作なし

第64回(1970年下半期)直木賞

【受賞】『長良川』豊田穣(50)

長良川の自然と、その流域に生きる人々の生活を描いた作品。河川と人間の関わりを軸に、日本の地方の自然と風土が丁寧に描かれる。

  • 『終曲』三樹青生(55)
  • 『時雨のあと』梅本育子(40)
  • 『すだまの裔たち』黒部亨(41)
  • 『アンモニア戦記』阿部牧郎(37)
  • マイナス・ゼロ』広瀬正(46)
  • 『宮地家三代日記』宮地佐一郎(46)
  • 紀伊国屋文左衛門』武田八洲満(43)

第63回(1970年上半期)直木賞

【受賞】『軍旗はためく下に』結城昌治(43)

太平洋戦争中の軍隊の内実と、兵士たちの過酷な運命を描いた作品。軍旗の下に消えた名もなき兵士たちの悲劇が、告発的な筆致で描かれる。

【受賞】『光と影』渡辺淳一(36)

日露戦争に従軍した二人の軍医の対照的な運命を描いた作品。同じ戦場を生き延びながら全く異なる人生を歩む男たちの、光と影が交差する物語。

  • 『南北朝の疑惑』林青梧(40)
  • 『孤島の騎士』白石一郎(38)
  • 『遭難』加藤薫(36)
  • 『十六夜』黒部亨(41)
  • 『軍神』福岡徹(46)

渡辺淳一さんの初期作は医療と戦争を組み合わせた硬派な内容で、後年の恋愛小説のイメージとは大きく異なる。著者の幅広い才能を示す作品として知られる。

第62回(1969年下半期)直木賞

受賞作なし

  • 『紅葉山』永岡慶之助(47)
  • 『われは湖の子』阿部牧郎(36)
  • 『おたまじゃくしは蛙の子』河村健太郎(41)
  • 『藤田嗣治』田中穣(44)
  • 『マンハッタン・ブルース』藤本義一(36)
  • 『ダイビング』平田敬(38)
  • 他人の城』河野典生(34)
  • 『日本の童謡』阪田寛夫(44)

第61回(1969年上半期)直木賞

【受賞】『戦いすんで日が暮れて』佐藤愛子(45)

破天荒な夫との激しい結婚生活を痛快に描いた自伝的エッセイ小説。怒りとユーモアが炸裂する文体で、女性の人生の戦いと解放を描く。

  • 『袋叩きの土地』阿部牧郎(35)
  • 『ちりめんじゃこ』藤本義一(36)
  • 『花を掲げて』勝目梓(37)
  • 『B少年の弁明』利根川裕(42)
  • 『島のファンタジア』黒部亨(40)
  • 『小説 心臓移植』渡辺淳一(35)

第60回(1968年下半期)直木賞

【受賞】『青玉獅子香炉』陳舜臣(44)

中国を舞台に、美しい青玉の獅子香炉をめぐる謎と歴史を描いたミステリー的作品。中国文化への深い造詣をもとに、東洋の美と謎が優雅に描かれる。

【受賞】『僑人の檻』早乙女貢(43)

海外に暮らす日本人(僑人)の孤独と異文化の中での葛藤を描いた作品。故郷を離れた日本人が異郷で経験する試練と人間の絆が描かれる。

  • わが町』阪田寛夫(43)
  • 『玉妖記』原田八束(47)
  • 『空港へ』豊田穣(48)
  • 『斧と楡のひつぎ』沢田誠一(48)
  • 『糸魚川心中』利根川裕(41)
  • 『乾坤独算民』浅田晃彦(53)

第59回(1968年上半期)直木賞

受賞作なし

  • 『示談書』豊田行二(32)
  • アフリカの爆弾』筒井康隆(33)
  • 大将とわたし』佐木隆三(31)
  • 『小船の上で』宮原昭夫(35)
  • 『河竜の裔』原田八束(47)
  • 『蛸と精鋭』阿部牧郎(34)
  • 『耳なしロドリゲス』梶野豊三(48)
  • 『死の武器』井上武彦(43)

第58回(1967年下半期)直木賞

【受賞】『アメリカひじき』『火垂るの墓』野坂昭如(37)

戦後日本のアメリカへの屈辱と憧れを描いた『アメリカひじき』と、空襲で孤児になった兄妹の悲劇を描いた『火垂るの墓』の二作。戦争の傷と戦後の混乱を、強烈な体験と独自の文体で刻んだ傑作。

【受賞】『聖少女』三好徹(37)

少女の純粋さと聖性をテーマにした作品。少女という存在の神聖さと危うさが、象徴的な語り口で描かれる。

  • 『ベトナム観光公社』筒井康隆(33)
  • 『首謀者』姫野梅子
  • 『風塵』原田八束(46)
  • 『あるスパルタの敗北』豊田穣(47)
  • 『訪れ』渡辺淳一(34)
  • 『残り火』加藤葵(40)
  • 『叛臣伝』早乙女貢(42)

火垂るの墓が直木賞の受賞作!アニメで広く知られているが、野坂さんの実体験から生まれた原作の言葉の重さは別格と評される。

第57回(1967年上半期)直木賞

【受賞】『追いつめる』生島治郎(34)

追い詰められた男の闘いと孤独を描いたハードボイルド小説。日本的ハードボイルドの先駆けとして、乾いた文体で暴力と正義の境界を描く。

  • 『ホタルの里』中田浩作(29)
  • 『シュロン耕地』斎藤芳樹(51)
  • 『霧の底から』滝口康彦(43)
  • 『生柿吾三郎の税金闘争』平井信作(54)
  • 『回向文』鬼頭恭而(56)
  • 受胎旅行』野坂昭如(36)
  • 『閃光の遺産』三好徹(36)
  • 『霙』渡辺淳一(33)

第56回(1966年下半期)直木賞

【受賞】『蒼ざめた馬を見よ』五木寛之(34)

反体制的な若者の生き様と、ロシアへの憧れと革命の幻想を描いた青春小説。世紀末的な虚無と疾走感が交差する、五木寛之の出世作。

  • GIブルース』五木寛之(34)
  • 『闇の中の対話』田中阿里子(45)
  • 『丘の家』津本陽(37)
  • 『大きな手』河村健太郎(38)
  • 『風塵地帯』三好徹(36)
  • 『鬼の骨』早乙女貢(41)
  • 炎に絵を』陳舜臣(42)

第55回(1966年上半期)直木賞

【受賞】『白い罌粟』立原正秋(40)

日本の伝統的美意識と現代の愛欲が交差する純愛小説。罌粟の白さが象徴する清純さと官能のはざまで揺れる男女の愛が、典雅な文体で描かれる。

  • 『最後の攘夷党』谷川健一(44)
  • 『非英雄伝』井出孫六(34)
  • 白昼堂々』結城昌治(39)
  • さらば、モスクワ愚連隊』五木寛之(33)
  • 『白い塔』北川荘平(35)
  • 『ふくさ』菅野照代(39)
  • 『かげろう記』滝口康彦(42)
  • 『善意通訳』田中ひな子(30)

第54回(1965年下半期)直木賞

【受賞】『八百長』新橋遊吉(32)

相撲界の八百長問題を正面から取り上げた作品。国技の裏に潜む闇と、それに関わる人間たちの葛藤が、鋭い視点で描かれる。

【受賞】『虜愁記』千葉治平(44)

シベリア抑留の経験をもとに、捕虜生活の苦難と望郷の念を描いた作品。極限状態に置かれた兵士たちの悲哀と連帯が、実体験に基づく筆致で描かれる。

  • 『大佐日記』古川洋三(55)
  • 『金銀にまみれて』金川太郎(50)
  • 『漆の花』立原正秋(40)
  • 『企業の過去帳』北川荘平(35)
  • 黄土の奔流』生島治郎(32)
  • 『極東語学校夜話』粂川光樹(33)
  • 修羅の人』青山光二(52)

相撲の八百長を正面から描いた『八百長』は当時大きな衝撃を与えた作品。今日の基準では候補に挙がりにくい内容かもしれない。

第53回(1965年上半期)直木賞

【受賞】『虹』藤井重夫(49)

戦後の混乱期を生きる人々の希望と苦難を描いた作品。廃墟の中に虹を見出すような、再生への意志が描かれる。

  • 『川の挿話』柴田道司(54)
  • 『氷の庭』中村光至(42)
  • 『白い横顔』中川静子(46)
  • 『重い神々の下僕』三好文夫(35)
  • 『銀色の構図』井上武彦(40)
  • 『苦を紡ぐ女』稲垣真美(39)
  • 『走狗』古川薫(40)

第52回(1964年下半期)直木賞

【受賞】『炎環』永井路子(39)

炎環

炎環

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鎌倉時代初期、頼朝の周辺に生きた女性たちの権謀術数と情念を描いた歴史小説。政争の陰で静かに、しかし強かに生きる女性たちの姿が、鮮やかに描かれる。

【受賞】『張少子の話』安西篤子(37)

中国を舞台に、庶民の人々の生き様と哀愁を描いた作品。東アジアの風土の中に生きる人間の普遍的な姿が、繊細な筆致で描かれる。

  • 加納大尉夫人』佐藤愛子(41)
  • 『刀工源清麿』斎藤鈴子(33)
  • 『帝国軍隊に於ける学習・序』富士正晴(51)
  • 『流離の記』江夏美好(42)
  • 『破れ暦』津田信(39)
  • 『衰亡記』中原弓彦(32)
  • 『幽囚転転』中川静子(45)

第51回(1964年上半期)直木賞

受賞作なし

  • 『海の侵入』真木桂之助(35)
  • 『赤い運河』草川俊(49)
  • 『裸の秒』桑原恭子(31)
  • 『指のメルヘン』村山明子(33)
  • 『電気計算機のセールスマン等』諸星澄子(32)
  • 『闘鶏絵図』宮地佐一郎(39)
  • 『誰のための大地』林青梧(34)
  • 『狂詩人』藤井千鶴子(54)

第50回(1963年下半期)直木賞

【受賞】『巷談本牧亭』安藤鶴夫(55)

東京・本牧亭を舞台に、落語と講談の世界に生きる芸人たちの人情と芸への執念を描いた作品。寄席文化の薫りと芸人たちの生き様が、味わい深く描かれる。

【受賞】『塵の中』和田芳恵(57)

文壇の裏側と文学者たちの生き様を描いた作品。昭和の文学世界に生きた人々の素顔と葛藤が、内側からの視点で描かれる。

  • 『廓育ち』川野彰子(36)
  • 『脱走記』江夏美子(41)
  • 地には平和を』小松左京(32)
  • 『サラリーマンの勲章』樹下太郎(42)
  • 猟人日記』戸川昌子(32)
  • 『戦雲の座』野村尚吾(52)
  • 『弦月』津村節子(35)
  • クリスマスの贈物』山川方夫(33)

第50回という節目!高度成長期前夜の日本を映した受賞作が続く時代。寄席文化が息づく巷談本牧亭は今も高く評価されている。

第49回(1963年上半期)直木賞

【受賞】『女のいくさ』佐藤得二(64)

戦中・戦後を生きた女性たちの困難と逞しさを描いた作品。時代の波に翻弄されながらも生き抜く女性たちの姿が、力強く描かれる。

  • 『短夜物語』来水明子(31)
  • 李朝残影』梶山季之(33)
  • 『あふれるもの』瀬戸内晴美(41)
  • 『空』福井馨(42)
  • 『氷中花』津村節子(35)

第48回(1962年下半期)直木賞

【受賞】『江分利満氏の優雅な生活』山口瞳(36)

サラリーマン・江分利満氏の日常生活を通じて、高度成長期の日本のおかしさと哀愁を描いたユーモア小説。庶民の生活の中に潜むペーソスが、軽妙洒脱な筆致で描かれる。

【受賞】『孤愁の岸』杉本苑子(37)

江戸時代の治水工事に命をかけた薩摩藩士たちの悲劇を描いた歴史小説。幕府の理不尽な命令に従い、異郷の地で非業の死を遂げた武士たちの矜持が描かれる。

  • 『花の御所』稲垣一城(50)
  • 『六本木心中』笹沢左保(32)
  • 『社外極秘』邦光史郎(40)
  • 『あるスカウトの死』高原弘吉(47)
  • 『火と土と水の暦』小橋博(40)
  • 『連』前田とみ子(36)

第47回(1962年上半期)直木賞

【受賞】『天才と狂人の間』杉森久英(50)

天才と狂気の境界線をテーマに、芸術家や天才たちの生涯を描いた伝記的作品。創造の秘密と人間の極限を、知的な筆致で探求する。

  • 『夜の暦』津田信(36)
  • 『無頼の系図』杜山悠(45)
  • 『乱世詩人伝』野村尚吾(50)
  • 『怪談』木野工(42)
  • 『色模様』川野彰子(34)
  • ゴメスの名はゴメス』結城昌治(35)
  • 『格子の外』金子明彦(35)
  • 『紙背』小林勝(34)
  • 『涼月記』来水明子(30)

第46回(1961年下半期)直木賞

【受賞】『螢の河』伊藤桂一(44)

戦場に生きた兵士たちの哀愁と、故郷への思いを描いた作品。蛍の光に象徴される命の儚さと、戦争の悲惨さが抒情豊かに描かれる。

  • 『背教者』来水明子(29)
  • 空白の起点』笹沢左保(31)
  • 『仁王』林青梧(32)
  • 『粟井宿の人足』杜山悠(45)
  • 枯草の根』陳舜臣(37)
  • 『そこからの出発』各務秀雄(32)

戦場の兵士と蛍の光という取り合わせが読者の心を打つと評される。戦後16年、まだ傷が癒えない時代に書かれた鎮魂の作品。

第45回(1961年上半期)直木賞

【受賞】『雁の寺』水上勉(42)

京都の寺を舞台に、寺男の少年と和尚の歪んだ関係、そして殺人を描いた作品。戦後日本の貧困と宗教的な世界が交錯する、水上文学の代表的作品。

  • 『夜の顔ぶれ』松本孝(28)
  • 『狼火と旗と』井口朝生(36)
  • 『斗南藩子弟記』永岡慶之助(38)
  • 『銀と青銅の差』樹下太郎(40)
  • 青苔記』永井路子(36)
  • 『孤雁』大屋典一(45)
  • 『お陣屋のある村』杜山悠(44)

第44回(1960年下半期)直木賞

【受賞】『はぐれ念仏』寺内大吉(39)

仏教の世界を舞台に、型破りな僧侶の活躍を描いたエンターテインメント作品。宗教的な枠を超えて庶民と交わる僧侶の姿が、ユーモアと情感で描かれる。

【受賞】『背徳のメス』黒岩重吾(36)

医学界の腐敗と人間の欲望をテーマにした社会派小説。白衣の裏に潜む医師たちの野心と背徳が、鋭いリアリズムで暴かれる。

  • 『絃』夏目千代(46)
  • 『夜は明けない』木戸織男(39)
  • 『妖盗蟇』畷文兵(47)
  • 『人喰い』笹沢佐保(30)
  • 『自分の中の他人』小堺昭三(33)
  • 複数短篇 星新一(34)
  • 『忍ヶ丘』津田信(35)

第43回(1960年上半期)直木賞

【受賞】『錯乱』池波正太郎(37)

複雑な人間関係と情念が交差する作品。池波作品特有の江戸の情感と人間の業が、鋭い筆致で描かれる。

  • 『刀塚』木本正次(47)
  • 『木石抄』左舘秀之助(35)
  • 『企業の伝説』北川荘平(29)
  • 海の牙』『耳』水上勉(41)
  • 『小説 天皇裕仁』小泉譲(47)
  • 『透明な暗殺』佐野洋(32)
  • 『日本いそっぷ噺』葉山修平(30)
  • 『休日の断崖』黒岩重吾(36)
  • 『美の盗賊』碧川浩一(56)

第42回(1959年下半期)直木賞

【受賞】『團十郎切腹事件』戸板康二(44)

歌舞伎の世界を舞台に、名優・市川團十郎に関わる謎の事件を描いたミステリー。歌舞伎の薫り高い世界と洗練されたユーモアが融合した作品。

【受賞】『梟の城』司馬遼太郎(36)

戦国時代の忍者・葛籠重蔵が豊臣秀吉暗殺を命じられる伝奇時代小説。忍者たちの暗闘と孤独な使命感が、司馬遼太郎の記念すべきデビュー作として鮮烈に描かれる。

  • 霧と影』水上勉(40)
  • 危険な関係』新章文子(38)
  • 『黄色のバット』杉森久英(47)
  • 『女夫ヶ池』津田信(34)
  • 『櫛』藤井千鶴子(50)

司馬遼太郎さんのデビュー作が直木賞!忍者×豊臣秀吉暗殺という掴みの強さ。この後、歴史巨編が続くとは誰も知らなかった。

第41回(1959年上半期)直木賞

【受賞】『馬淵川』渡辺喜恵子(45)

東北の馬淵川流域に生きる人々の生活と自然を描いた作品。東北の風土に根ざした庶民の日常が、丁寧な筆致で描かれる。

【受賞】『鏨師』平岩弓枝(27)

金属細工師(鏨師)の職人の世界と人間模様を描いた時代小説。職人の誇りと技への執念が、江戸の情感とともに描かれる。

  • 『うぐいす』小田武雄(45)
  • 『天国は遠すぎる』土屋隆夫(42)
  • 『黒白』柳田知怒夫(51)
  • 『鍵』津村節子(31)
  • 秘図』池波正太郎(36)

第40回(1958年下半期)直木賞

【受賞】『総会屋錦城』城山三郎(31)

戦後の経済界を舞台に、総会屋として活躍する男の生き様を描いた作品。高度経済成長期の日本の経済社会の裏側が、リアルに描かれる。

【受賞】『落ちる』多岐川恭(39)

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人生の転落・堕落をテーマにした心理的サスペンス。人間の深層心理と堕落の構造が、ミステリー的な手法で鮮やかに描かれる。

  • 『あざやかなひとびと』深田祐介(27)
  • 『日本工作人』津田信(33)
  • 『応仁の乱』池波正太郎(35)
  • 『二つの虹』野口冨士男(47)
  • 『泥炭地層』福本和也(30)
  • 『長城線』草川俊(44)

第39回(1958年上半期)直木賞

【受賞】『花のれん』山崎豊子(33)

大阪の花街を舞台に、芸妓から実業家へと成り上がる女性の波乱の人生を描いた作品。女性の執念と商才が、山崎豊子らしい骨太の筆致で描かれる。

【受賞】『赤い雪』榛葉英治(45)

山村の自然と農民の生活を背景に、人間の運命と激しい情念を描いた作品。赤く染まる雪のような激情と、自然の厳しさが交差する物語。

  • 『K7高地』福本和也(29)
  • 『黄色い運河』草川俊(43)
  • 『切腹九人目』田中敏樹(54)
  • 『生と死の間に』棟田博(48)
  • 『河太郎帰化』水島多樓(47)
  • 『水の壁』北川荘平(27)
  • 氷柱』多岐川恭(38)

第38回(1957年下半期)直木賞

受賞作なし

  • 『輸出』城山三郎(30)
  • 『次席検事』金川太郎(42)
  • 『高柳父子』滝口康彦(33)
  • 『白い太陽』小林実(42)
  • 『信濃大名記』池波正太郎(34)
  • 『紙漉風土記』小田武雄(44)
  • 『借金鬼』碧川浩一(53)
  • 『単独登攀』瓜生卓造(38)

受賞なし。この頃の選考委員は妥協しなかった。候補作も充実しており、受賞作と並んで注目に値する作品が揃っている。

第37回(1957年上半期)直木賞

【受賞】『ルソンの谷間』江崎誠致(35)

フィリピン・ルソン島での太平洋戦争の戦闘を描いた作品。ジャングルの中で生き残りをかけた兵士たちの過酷な体験が、迫力ある筆致で描かれる。

  • 『義歯』藤井千鶴子(47)
  • 『眼(め)』池波正太郎(34)
  • 『魔法瓶』相見とし子(32)
  • 『寵臣』佐藤明子(25)
  • 『白い扇』有吉佐和子(26)
  • 『ONLY YOU』村松喬(40)

第36回(1956年下半期)直木賞

【受賞】『お吟さま』今東光(58)

千利休の娘・お吟をめぐる美しく悲しい恋の物語。茶の湯の精神と武士の世界に翻弄された女性の純粋な愛が、格調高い文体で描かれる。

【受賞】『勝烏』穂積驚(44)

勝負の世界に生きる人間の意地と誇りを描いた作品。己の信念を貫いて闘う男の矜持が、簡潔な筆致で描かれる。

  • 『異郷の女』村松喬(39)
  • 『長官』赤江行夫(38)
  • 耳学問』木山捷平(52)
  • 『山峽町議選誌』熊王徳平(50)
  • 恩田木工』池波正太郎(33)
  • 『二人の男』小沼丹(38)
  • 『沖縄の民』石野径一郎(47)

第35回(1956年上半期)直木賞

【受賞】『壁の花』今官一(46)

社会の壁に阻まれながらも生きる人間たちの姿を描いた作品。孤独な魂が社会の壁に咲かせる花のような人間性が、丁寧に描かれる。

【受賞】『燈台鬼』南條範夫(47)

時代小説の世界を舞台に、孤高の剣客の波乱の生涯を描いた作品。剣と心の道を極めようとする男の孤独な戦いが、力強く描かれる。

  • 『廓』西口克己(43)
  • 『落首』小橋博(34)
  • 『長官』赤江行夫(37)
  • 『七色の地図』島田一男(49)
  • 『海軍記念日』棟田博(46)
  • 『法の外へ』青山光二(43)

第34回(1955年下半期)直木賞

【受賞】『強力伝』新田次郎(43)

山岳を舞台に、黒部ダム建設に携わった山の男たちの過酷な仕事と生き様を描いた短編集。山と格闘する男たちの誇りと命がけの仕事が、迫力満点に描かれる。

【受賞】『香港』邱永漢(31)

香港を舞台に、異文化が交錯する国際都市の実態と、そこに生きる人々の生き様を描いた作品。台湾出身の著者が内側から描く香港の魅力と混沌。

  • 『銀簪』今官一(46)
  • サイパンから来た列車』棟田博(46)
  • 『戦争記』片山昌造(44)
  • 『未決囚』八匠衆一(38)
  • 『老眼鏡と土性骨』野村敏雄(29)

新田次郎さんは気象庁技術者出身で、山と自然を描かせたら右に出る人はいないと評される。強力伝の男たちのたくましさは今日も色あせない傑作として知られる。

第33回(1955年上半期)直木賞

受賞作なし

  • 『風雪』劉寒吉(48)
  • 『箱』谷崎照久(38)
  • 『累代』鬼頭恭而(44)
  • 『衆目』鬼生田貞雄(46)
  • 『鉄の肺』武田芳一(44)
  • 『北極海流』瓜生卓造(35)
  • 『最後の戦闘機』三ノ瀬溪男(37)

第32回(1954年下半期)直木賞

【受賞】『ボロ家の春秋』梅崎春生(39)

戦後の貧しい集合住宅に暮らす人々の悲喜こもごもを描いた作品。ボロ家に集まる庶民たちの哀愁とユーモアが、戦後日本の空気とともに描かれる。

【受賞】『高安犬物語』戸川幸夫(42)

高安犬という日本犬種の生態と、人間との関わりを描いた動物文学。山を生きる犬の野性と人間への忠誠が、自然描写豊かな筆致で描かれる。

  • 濁水渓』邱永漢(30)
  • 『青春手帖』飯沢匡(45)
  • 『竹槍騒動異聞』原田種夫(53)
  • 妻の温泉』石川桂郎(45)
  • 『マラッカの火』中村八朗(40)

第31回(1954年上半期)直木賞

【受賞】『終身未決囚』有馬頼義(36)

死刑判決を受けながらも処刑されずに生き続ける囚人の心理と、司法制度の矛盾を描いた作品。生と死の境界に置かれた人間の魂が、鋭い社会批判とともに描かれる。

  • 『芽吹く頃』中村八朗(40)
  • 『野猿の言葉』白川渥(46)
  • 『裏道』『蝶々トンボ』長谷川幸延(50)
  • 『水妖記』南條範夫(45)
  • 『帰らぬ人々』沙羅双樹(49)
  • 『零下の群れ』広池秋子(34)

第30回(1953年下半期)直木賞

受賞作なし

  • 『脳下垂体』木山捷平(49)
  • 『都会の樹蔭』田宮虎彦(42)
  • 『亡命記』白藤茂(39)
  • 『地の塩』井手雅人(34)
  • 『老猿』和田芳恵(47)
  • 『汚された思春期』池田みち子(43)
  • 『南蛮絵師』原田種夫(52)

受賞なしが続く時代。候補作を見ると、戦争体験を語ろうとする作家たちの熱量がうかがえる。

第29回(1953年上半期)直木賞

受賞作なし

  • 『子守りの殿』『不運功名譚』南條範夫(44)
  • 『顔世御前』『遊蕩の果て』長谷川幸延(49)
  • 『拐帯者』梅崎春生(38)
  • 『腸詰奇談』『リッタイ時代』飯沢匡(44)
  • 『玉手箱』中村八朗(39)

第28回(1952年下半期)直木賞

【受賞】『叛乱』立野信之(49)

二・二六事件をモデルにした、軍事クーデターと反乱将校たちの心理を描いた作品。昭和の軍部の狂気と青年将校たちの純粋な誤りが、リアルに描かれる。

  • 『獄門帳』沙羅双樹(47)
  • 『老残』長谷川幸延(48)
  • 或る「小倉日記」伝』松本清張(43)
  • 『白扇』北条誠(35)
  • 『紋章家族』中村八朗(38)

第27回(1952年上半期)直木賞

【受賞】『罪な女』他 藤原審爾(31)

男女の欲望と罪の意識を赤裸々に描いた短編集。人間の本性に潜む罪と情念が、大胆な筆致で描かれる。

  • 『斧の定九郎』『白い百足虫』藤原審爾(31)
  • 『防波堤』梶野悳三(51)
  • 『霊を持つ手』『貝殻追放』中村八朗(38)
  • 『露草』和田芳恵(46)
  • 『天国は盃の中に』三橋一夫(43)
  • 『洞窟』渡辺祐一(39)

第26回(1951年下半期)直木賞

【受賞】『鈴木主水』久生十蘭(49)

江戸時代の旗本・鈴木主水の奇想天外な冒険と人情を描いた時代小説。機知とユーモアに富んだ久生十蘭の筆が、江戸の粋な世界を生き生きと描く。

【受賞】『イエスの裔』柴田錬三郎(34)

キリスト教と日本の歴史を絡めた伝奇的作品。柴田錬三郎特有の剛直な文体で、歴史のロマンと人間の信仰が描かれる。

  • 『白雪姫』他 久生十蘭(49)
  • 『藤十郎狸武勇伝』他 藤原審爾(30)
  • 『零子』梅崎春生(36)
  • 『桂春団治』長谷川幸延(47)
  • 『困った門』摂津茂和(52)
  • 『馬喰一代』中山正男(41)

久生十蘭さんはその風変わりな作風から「奇術師」と呼ばれた。エンタメと文学の境界を自由に行き来した先駆者。

第25回(1951年上半期)直木賞

【受賞】『英語屋さん』他 源氏鶏太(39)

サラリーマン社会のユーモラスな姿を描いた短編集。英語を武器に生きるサラリーマンたちの哀愁と滑稽さが、温かいユーモアで描かれる。

  • 『デスマスク』柴田錬三郎(34)
  • 西郷札』松本清張(41)
  • 『秋寒』峰雪栄(34)
  • 公爵近衛文麿』立野信之(47)

第24回(1950年下半期)直木賞

【受賞】『真説石川五右衛門』『長恨歌』檀一雄(39)

義賊・石川五右衛門の真実の姿を描いた『真説石川五右衛門』と、愛と別れをテーマにした『長恨歌』の二作。檀一雄の情熱と文学への真摯な姿勢が刻まれた作品。

  • 『金剛童子』梶野悳三(50)
  • 『白い蝙蝠』中村八朗(36)
  • 『犬を飼ってゐる夫妻』他 藤原審爾(29)
  • 『木石に非ず』源氏鶏太(38)

第23回(1950年上半期)直木賞

【受賞】『天皇の帽子』今日出海(46)

昭和初期の宮廷を題材にした物語。天皇の帽子という素材を通じて、時代の権威と個人の運命が交差する作品。

【受賞】『執行猶予』小山いと子(49)

執行猶予中の人間が社会復帰を目指す物語。法と人情のはざまで生きる人間の葛藤が、温かな眼差しで描かれる。

  • 『熊山の女妖』檀一雄(38)
  • 『随行さん』源氏鶏太(38)
  • 『雪化粧』小磯なつ子(38)
  • 『君が火の鳥』『南支那海』小泉譲(37)
  • 『黒い花』梅崎春生(35)
  • 『微笑』『北風』吉井栄治(37)
  • 『悲しき神々』日吉早苗(49)
  • 『川田二等少尉』玉川一郎(44)

第22回(1949年下半期)直木賞

【受賞】『海の廃園』山田克郎(39)

海を舞台にした廃れゆくものへの哀愁を描いた作品。海辺の廃園に漂う孤独と郷愁が、叙情豊かな筆致で描かれる。

  • 『山中放浪』今日出海(46)
  • 『甲子園の想出』河内信
  • 『俘虜五〇七号』若尾徳平(32)
  • 『おもかげ』小糸のぶ(44)
  • 『地獄の谷底』西川満(42)
  • 『死の盛粧』小泉譲(36)
  • 『冬の旅』大屋典一(33)

終戦から4年、まだGHQの占領下。廃れゆくものへの哀愁が戦後日本の空気そのもの。

第21回(1949年上半期)直木賞

【受賞】『面』『刺青』他 富田常雄(45)

仮面と刺青という素材を通じて、人間の内面の闇と美を描いた作品集。日本の伝統的な美意識と人間の業が、力強く描かれる。

  • 『九字を切る』他 徳川夢声(55)
  • 秋津温泉』藤原審爾(28)
  • 『桑門の街』中村八朗(35)
  • 『山中放浪』今日出海(45)
  • 『怖るべき子供たち』菊岡久利(40)
  • 『海は紅』山田克郎(38)

第20回(1944年下半期)直木賞

受賞作なし

  • 『寒菊抄』中井正文(31)
  • 『新田誌』我孫子毅(29)
  • 『とりつばさ』佐藤善一(38)

第19回(1944年上半期)直木賞

【受賞】『ニューギニア山岳戦』岡田誠三(31)

ニューギニアでの戦闘体験をもとに、太平洋戦争の過酷な実態を描いた作品。ジャングルでの戦闘と兵士たちの苦闘が、実体験に基づく迫力で描かれる。

  • 『小堀遠州』瀧川駿(37)
  • 『檻送記』山手樹一郎(45)

第18回(1943年下半期)直木賞

【受賞】『山畠』『蛾と笹舟』森荘已池(36)

東北の農村を舞台に、土地と人間の関係を描いた短編集。東北の風土に根ざした農民の生活と魂が、素朴な筆致で描かれる。

  • 『十時大尉』劉寒吉(37)
  • 『家系』原田種夫(42)
  • 『鳳輦京に還る』龍膽寺雄(42)

戦時中の直木賞。東北農村の静かな日常を描いた受賞作は、戦争に向かっていく時代への静かな抵抗のようにも受け取られている。

第17回(1943年上半期)直木賞

受賞辞退:『日本婦道記』山本周五郎(40)

  • 『華僑伝』大林清(35)
  • 『西域記』岩下俊作(36)
  • 『真福寺事件』久生十蘭(41)
  • 『西北撮影隊』渡辺啓助(42)
  • 『幻の翼』立川賢(36)
  • 『雪よりも白く』辻勝三郎(27)

第16回(1942年下半期)直木賞

【受賞】『強情いちご』他 田岡典夫(34)

人間の強情さと意地をテーマにした短編集。逆境の中でも我を曲げない人間たちの姿が、ユーモアと哀愁をもって描かれる。

【受賞】『寛容』他 神崎武雄(36)

寛容の精神をテーマにした作品。人間同士の許しと受け入れが、静かな文体で描かれる。

  • 『オルドスの鷹』渡辺啓助(42)
  • 『遣米日記』久生十蘭(40)

第15回(1942年上半期)直木賞

受賞作なし

  • 『信義』神崎武雄(36)
  • 『帆装』山田克郎(31)
  • 『室戸港遺風』他:田岡典夫(33)
  • 『余香抄』山手樹一郎(43)
  • 『三笠の月』久生十蘭(40)
  • 『東支那海』大林清(34)
  • 『密林の医師』渡辺啓助(41)
  • 『男の像』棟田博(32)
  • 『怒濤の唄』関川周(29)

第14回(1941年下半期)直木賞

受賞作なし

  • 『模型飛行機』長谷川幸延(37)
  • 『花開くグライダー』大庭さち子(37)

太平洋戦争開戦の年、受賞なし。文学の世界にも戦争の影が忍び寄っていた時代。

第13回(1941年上半期)直木賞

【受賞】『雲南守備兵』木村荘十(44)

雲南に駐留した日本軍守備兵の体験を描いた戦争文学。異郷の地での戦争の現実と兵士たちの心情が、実感をもって描かれる。

  • 『士族移民隊』大林清(33)
  • 『諦めとは言へど』岩下俊作(34)
  • 『聖保羅福音使学院』関川周(28)
  • 『冠婚葬祭』長谷川幸延(37)

第12回(1940年下半期)直木賞

【受賞】『上総風土記』他 村上元三(30)

千葉・上総の地方の歴史と風土を描いた作品。地方の歴史と人々の生き様が、丁寧な筆致で描かれる。

  • 『辰次と由松』岩下俊作(34)
  • 『人情サキソフォン』玉川一郎(35)
  • 『ノート・ブック』神崎武雄(34)
  • 『法善寺横町』長谷川幸延(36)
  • 『廟行鎮再び』伊地知進(36)
  • 『紀文抄』古澤元(33)

第11回(1940年上半期)直木賞

【受賞】『小指』他 堤千代(28)

小指という身体の部位を媒介にした物語を含む作品集。女性の繊細な感情と人間の関係性が、清楚な筆致で描かれる。

【受賞】『軍事郵便』河内仙介(41)

戦地から送られる軍事郵便を通じて、戦争と銃後の人々の心情を描いた作品。手紙が結ぶ戦地と故郷の絆が、静かな感動をもって描かれる。

  • 『算盤』村上元三(30)
  • 『葡萄蔓の束』久生十蘭(38)

第10回(1939年下半期)直木賞

受賞作なし

  • 『小指』堤千代(28)
  • 『お狸さん』宇井無愁(30)
  • 『妻と戦争』大庭さち子(35)
  • 『火の赤十字』松坂忠則(38)
  • 『富島松五郎伝』岩下俊作(33)

1930年代後半の直木賞は候補作の情報も少ない。それでもここに名を刻んだ作家たちがいた事実は大切に記録されるべきだ。

第9回(1939年上半期)直木賞

受賞作なし

  • 『きつね馬』宇井無愁(30)
  • 『ローマ日本晴』摂津茂和(40)
  • 『蝦夷日誌』村上元三(29)
  • 『首途』土岐愛作(27)
  • 『極楽剣法』鳴山草平(37)

第8回(1938年下半期)直木賞

【受賞】『秋田口の兄弟』『兜首』大池唯雄(30)

東北を舞台にした時代小説と武士の世界を描いた二作。東北の土地に根ざした人間の逞しさと、武士の誇りが描かれる。

  • 『吉原堤の仇討』大池唯雄(30)
  • 『兜町』沙羅双樹(33)

第7回(1938年上半期)直木賞

【受賞】『ナリン殿下への回想』橘外男(43)

異国の殿下への回想を軸にした異色の作品。東洋と西洋の文化が交差する世界で、人間の記憶と感情が繊細に描かれる。

  • 『火山灰地』久保栄(37)
  • 徳川夢声(44)

第6回(1937年下半期)直木賞

【受賞】『ジョン万次郎漂流記』他 井伏鱒二(39)

土佐の漁師・ジョン万次郎(中浜万次郎)の漂流からアメリカ留学、日本開国への貢献を描いた伝記的長編。日本近代化の夜明けを一人の若者の波乱の生涯を通じて活写した名作。

  • 濱本浩(46)

井伏鱒二といえば『山椒魚』や『黒い雨』が有名だが、直木賞の受賞作はジョン万次郎の漂流記。エンタメへの柔軟な姿勢が注目を集めた。

第5回(1937年上半期)直木賞

受賞作なし

  • 『浅草の灯』濱本浩(46)
  • 『新喜劇』同人 ※団体

第4回(1936年下半期)直木賞

【受賞】『人生の阿呆』他 木々高太郎(39)

探偵小説と純文学の融合を目指した、人間の愚かしさと知性を描いた作品。医学者でもある著者が、「人生の阿呆」という逆説的な視点で人間を描く。

  • 『妖棋伝』角田喜久雄(30)
  • 『楽天公子』他:獅子文六(43)
  • 小栗虫太郎(35)
  • 『黎明に戦ふ』今野賢三(43)
  • 橘外男(42)
  • 『鉱毒』濱本浩(45)

第3回(1936年上半期)直木賞

【受賞】『天正女合戦』『武道伝来記』他 海音寺潮五郎(34)

戦国時代の女性たちの闘いと、日本の武道の精神を描いた歴史小説群。海音寺潮五郎の骨太な歴史観が、男女の生き様を通じて表れる。

  • 濱本浩(45)
  • 中野実(34)
  • 木々高太郎(39)
  • 竹田敏彦(45)
  • 獅子文六(43)
  • 角田喜久雄(30)
  • 山本周五郎(33)

第2回(1935年下半期)直木賞

【受賞】『吉野朝太平記』鷲尾雨工(43)

南北朝時代、吉野に逃れた後醍醐天皇の朝廷と、武士たちの忠義と裏切りを描いた歴史小説。歴史の敗者たちの美学と悲劇が、格調ある文体で描かれる。

  • 『遊覧列車』獅子文六(42)
  • 濱本浩(44)
  • 海音寺潮五郎(34)
  • 湊邦三(37)

第1回から振り返ると、直木賞の歴史は日本近代文学の歩みそのもの。1935年から変わらず「エンターテインメントの頂点」を目指してきた賞の重みが伝わってくる。

第1回(1935年上半期)直木賞

【受賞】『鶴八鶴次郎』『風流深川唄』他 川口松太郎(35)

花柳界を舞台に、三味線師匠と踊りの名手の哀愁漂う恋愛を描いた『鶴八鶴次郎』をはじめとする作品集。直木賞第1回受賞作として、江戸情緒と人情の世界を鮮やかに描いた。

  • 陸直次郎(37)
  • 木村哲二(41)
  • 濱本浩(44)
  • 湊邦三(37)
  • 海音寺潮五郎(33)
  • 岡戸武平(37)
  • 中野実(33)
  • 角田喜久雄(29)