ブームにのって「人工知能」の本を、一冊だけ読んだ。なんとなくすごさは分かった。働くことについても考えさせられた。気になった点をざっくり書いておく。
「人工知能」は、まだこの世に存在していない
一般的には、人間と同じように考えるコンピューターを人工知能という。しかし、「人間と同じように」の定義は、専門家によってもまちまち。
「人工知能搭載!」と喧伝される商品の大半は、人間が決めたルールに従って、うまい具合に動くだけのもの。「人工知能のようにみえる」だけだったりする。
これまでの「人工知能」は、人間がルールを上手く設定できるかが勝負だった。しかし、「ディープラーニング」という革命的な手法が登場したことで、状況が大きく変わった。
Googleがディープラーニングで認識した「猫」の衝撃
2012年、Googleのコンピューターが、ディープラーニング(深層学習)という手法を使って、猫を認識した。
画期的なのは、1000万枚の画像データから、コンピューター自らが、猫という概念をみつけたという点。「これ、猫っていうんだよ」と教えれば、学べるということ。人間が細かく「猫を定義する必要」がなくなったのだ。
特徴的な表現を見い出す学習方法は、従来とはまったく異なる。「人工知能」の世界において革命的な前進だった。
人類がコンピューターに支配される可能性はあるのか
「人工知能」が進むと、人類が滅亡すると危惧する人々がいる。はたして、映画「ターミネーター」のように、人類が支配される可能性はあるのだろうか。
コンピューターが人間の能力を越える技術的特異点(シンギュラリティ)が、2045年に訪れるという説があるが、SFの域を出ていない。実際には、まだまだ進化のステップがあり、それらを超えられる可能性は極めて低い。
しかし、「人工知能」が進化することで、ライフスタイルや仕事のあり方が大きく変わるのは間違いない。
「人工知能」がグイグイきて、消える仕事、残る仕事
法則に従って対応が発生する業務は、コンピューターに取って代わられつつある。通常オペレーション(テレマーケティング)、異常を発見する仕事(検査、防犯)、データ分析や調査、リスク管理(保険事業、株式投資)など。
創造性のある仕事が残るだろうが、部分的にはそれらも取って代わられる。人工知能による小説の執筆や、絵を描く取り組みも進められている。
残る仕事は、人と接触するコミュニケーションが発生するもの、となるのかもしれない。
今ある仕事がなくなり、新しい仕事が登場する。まだ、想像もできない仕事が。そのとき、変化に対応できるのか、対応する必要があるのか。不安でもあり、楽しみでもある。
まとめ
「ネットの世界じゃなくて、リアルの世界で働けばいいのに」と言われることがある。未来は、そうならざるをえないのかもしれない。何年後か、何十年後かはわからないが。
本書にはもっと面白いことがたくさん書いてあった。読んで損はないと思うので、「人工知能」に興味があれば、是非。